コメンテータ
ランキング
HELP

3819695さんのコメント: 更新順

★3グリーンホーネット(2011/米)「『ダークナイト』以降」の文脈を読み間違えたか。ゴンドリーが積極的にアクション演出に関与したかは怪しいが、いずれにせよ「瞬間」を捉え損ねたアクションを見続けるのは苦しい。運動の低速化・立体化はそれを贖えない。セス・ローゲンで笑えなくともキャメロン・ディアスで笑えるのが救いだ。役者が違う。[投票]
★4ヤクザタクシー(1994/日)連作『勝手にしやがれ!!』に連なる楽園世界に思わず笑みがこぼれるけれども、キャストの貧しさは否めない。積極的によかった俳優を挙げれば、豊原功補諏訪太朗寺島進上田耕一となるが、彼らが現在でも商業映画の舞台でバリバリ活躍している面々であるというのは偶然でも先入見でもないだろう。 [review][投票]
★3信さん 炭坑町のセレナーデ(2010/日)人物と挿話が有効に連結されていないので映画から疎外感を受けてしまう。しかし池松壮亮はやはりいい役者だ。出演者が子役から池松・石田卓也柄本時生に移行するとぐっと映画が引き締まる。炎くすぶる石炭の山や雪の舞いなど撮影の情緒に見所あり、CGと思しきカット群(遠景の黒煙など)も上出来だ。[投票]
★4デイブレイカー(2009/豪=米)みんなしてこれを大真面目に演じているのだから笑ってしまうし、俳優さんは偉いとも思う。「日光の下を強制行進」のように一見すると奇抜な、しかし世界観を突き詰めた上では必然でもあるような陰惨なイメージがたくさんあっていい。四〇絡みのおっさんおばはんに未来が託されるという構図も趣深いなあ。[投票]
★4黒く濁る村(2010/韓国)顔芸映画。物語展開や細部の構築以上に顔面の取り扱いが漫画だ。釈然としない箇所は多く、挿話の配分などにも難はあるものの、仰々しいけれん味を積極的に楽しみたい。またユ・ジュンサンの検事が意外にいい。作劇的には少しく便利すぎるキャラクタだが、誰にも分け隔てなく横柄な態度が頼もしく面白い。[投票]
★4軽蔑(1963/仏)「美しさと格好よさはゴダールでも随一」とはこれを以ても云い切れないのだからゴダさんの才能は破格だ。海辺に場を移した後半はむろん、前半チネチッタのシーンもバッキバキにキメまくる。試写室から外に出てきたフリッツ・ラングが煙草を喫むカット! 女性通訳が自転車で街セットをすいすい走るカット! [review][投票(1)]
★2ふたたび swing me again(2010/日)「ジャズ」「ハンセン病」「旅」の三題噺。善良な人々が携わった映画だとは思う。ハンセン病の扱いにも真摯さが認められる。しかし刺激の乏しさと技術の拙さは目に余る。心根の素直さを軽さとして表現する鈴木亮平、存在感に年輪が刻まれた財津一郎、主演二名が悪くないのは救いだ。ワーストは藤村俊二[投票]
★4シルビアのいる街で(2007/スペイン=仏)ホセ・ルイス・ゲリンは「映画的」とは何事かをよく知っている。映画的な道具立てだけでできていると云ってもよい。窃視と尾行。音響の立体的定位。反射/透過装置としての窓、とりわけ車体の全面を覆う市電の車窓。しかし熱心な勉強家の発想を大きく出るものはない。最大の参照項は『飛行士の妻』か。 [review][投票(4)]
★3アメリア 永遠の翼(2009/米=カナダ)大西洋横断に成功した着陸地に地元民がぞろぞろと集まってくる様子など、ハッピーなシーンがちゃんとアメリカ映画していていい。挿話の取捨選択の問題か、メロドラマの運行ぶりには不満を覚えるが、ヒラリー・スワンクが浮かべる男の子のような笑顔はいつでも私の胸を締めつける。アメリアはアメリカだ。[投票(1)]
★4ソーシャル・ネットワーク(2010/米)世界は夜と曇天に覆われ、照明は主演者の眼窩に影を落として人格を示唆する。マシンガン・トークも『赤ちゃん教育』〜エディ・マーフィの伝統的文脈から距離を置いて「笑い」を求めず、「成功」はたかだかサイトのアクセス/登録者数・会社の評価額・株式の保有率といった「数字」でしか表わされない。 [review][投票(14)]
★5アンストッパブル(2010/米)現場主義者トニー・スコットの『大列車追跡』は前作と好対照を成す死角なしの活劇だ。『激突!』トラック(=恐竜)のように吠える暴走列車。鋼鉄運動の重量感と肉体労働の生身感が錆色がかった画調によく映え、物語の隙は脇役の顔の充実で埋める(いいねえリュー・テンプル)。最優秀演出はやっぱり穀物![投票(3)]
★4いとはん物語(1957/日)少なくとも主演級には美男美女を揃えるべきとする不文律から逃れることが難しい商業娯楽映画において、これほど容姿の美醜について残酷に切り込んだ作が他にあるか私は知らない。京マチ子鶴田浩二はむろん小野道子東山千栄子、妹の矢島ひろ子らも含め、皆が他を思いやる善人だからこその辛さ切なさ。 [review][投票(3)]
★4ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人(2008/米)映画の命が被写体であり、被写体の魅力が人柄によるのならば、映画も結局のところ人柄で決まる。嘘ではない。小津安二郎笠智衆を主演に抜擢した理由について「笠は人間がいい」と云っていたではないか。ハービーとドロシーという稀有の被写体を追いかけることにした時点でこの映画の面白さも決まりだ。 [review][投票(2)]
★4DOOR III(1996/日)女優をまともに撮った初めての黒沢作品(確かに『ドレミファ娘の血は騒ぐ』の洞口依子は魅力的でしたが、ぞんざいな演出を受けた彼女が勝手に輝いたと云うのが適当に思われます)。黒沢らしい驚きの演出が次々に繰り出されるが、その恐怖にエロティシズムが絡んでくるのは珍しい。小中千昭の色か。傑作。 [review][投票(1)]
★4義兄弟(2010/韓国)映画が観念的把握に自縛した『映画は映画だ』よりもずっとよい。むろん満点の活劇ではないが、ここまで頑張って市街チェイスや集合住宅アクションを見せてくれるとは嬉しいじゃないか。風景のヴァリエーションにも気を遣っているし、人探し業のディテールで挿話に厚みをもたらすシナリオワークも心憎い。 [review][投票(4)]
★4スプリング・フィーバー(2009/中国=仏)ずっぷりと映画へ没入する一方で、その「夜」の蠢きは私の脳内サウンドトラックにJAGATARA「都市生活者の夜」を再生させていた。性的嗜好や時代・地域の特殊性を越え、映画は普遍的な都市生活者の心象風景を描き出している。同じように月夜の下で、同じように足をならし……今は午前四時少し前。 [review][投票(2)]
★4ようこそ、アムステルダム国立美術館へ(2008/オランダ)「てんやわんや」と「堂々巡り」の面白さ。分かったような分からぬような理由でいつまで経っても目的地に辿り着けない不条理はほとんどカフカの『城』である。その点、サイクリストらの主張を切実なものとして受け取ることが難しい私たち非オランダ市民のほうが面白く見ることができる映画かもしれない。 [review][投票]
★3氾濫(1959/日)よくもまあこんなキモチワルイ人々ばかり創造できたものだ(川崎敬三伊藤雄之助船越英二沢村貞子が四強)。このような業の深い人間たちが入り乱れるなか、川崎のようなタイプが最大の打算力を誇ってしたたかにしなやかに生き抜き、大役を担ってしまう。というのが映画の組織法として発見的である。 [review][投票(1)]
★3ふたりの人魚(2000/日=独=中国)ともにジョウ・シュンが演じるメイメイとムーダンは果たして同一人物なのか否か。その点について曖昧さを残さない展開が却って形容困難な余情・余韻を生む。地に足のついた身近な風物から起ち上がる複雑な虚構性(夢物語?)に私は『めまい』する。全篇に亘るハンディ・カメラ使用にも自制が利いている。[投票]
★3トロン LEGACY(2010/米)3D表現に関して『アバター』と対抗するもうひとつの極を形成しようという気概はある。(どちらも画面に占める実写素材の割合は極めて小さいとは云え)『アバター』がどこまでも自然の風物で構成された世界で飛翔運動を活劇の中心に据える一方、こちらは暗黒と人工光の無機質空間で疾走運動を展開する。 [review][投票(5)]