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disjunctiveさんのコメント: 更新順

★4ゴーストライター(2011/仏=独=英)庭師のおやじさんの帽子を嗅がずにはいられない陰性の好奇心と当然の応報を喰らって軋む顔面。オリビアの挑発に乗せられ露呈する臀部。出版記念パーティーで放たれる何も考えていないドヤ顔。ユアン・マクレガー、文系暗黒映画の最前線を逝く...またしても。[投票(5)]
★3ナッシュビル(1975/米)ガジェットがフラグ化する因果性と文系の暗黒面という属性の普遍性に物語の残滓を求めるのなら、風俗の風化を超えて生き延び得たのは論理的な熟慮ということになる。[投票]
★4シンデレラマン(2005/米)努力の収支が実感できないとしたら? 映画は何らかの指標性を以て、強度の非来歴性に対抗し始めるだろう。強度の占有序列から自ずと顔芸が沸き上がるではなく、より歪んだ顔面が強度の配向を決める威嚇的な空間へと。[投票]
★4フロスト×ニクソン(2008/米)ランジェラに対する追い込みが半ばエンカウントに近い処理になっていて、キャラクターの努力の収支が合わず、観察の拠り所に欠ける。良心の検分のために無意識にマイケル・シーンを誘導する筋だとしたら、キャラの視点と内面の時間配分に納得がいかなくなる。[投票]
★4キングダム 見えざる敵(2007/米)何とも後ろめたいウルルン滞在記を紛らわすためには、クリス・クーパーや現地軍の怖いオヤジの姿態に横たわるような悠久たる人間愛に身を任せた方がよほど楽だと思うが、そこをあえて超人化した捜査員らの暴力の謳歌で応えるのはこれはこれで冒険だと思う。[投票(1)]
★416ブロック(2006/米=独)良心の可視化が問題と言えばそうで、形がなければ語り手の作為が及ばない。もっとも、地縁や血縁が形あるゆえにショートカットとして働いてしまい、スリラーに対して禁欲的な作りにもなっているのだが。[投票]
★3ファイナル・デスティネーション(2000/米)ロジカルなムードに欠いたジャンル話法が食い詰めるのは致し方なく、死亡フラグのピタゴラスイッチの至るある種の盲目化が、キャラの人生に寄り添おうとする受け手を拒絶する。しかし豊饒な徴証の中に自己を見失うからこそ、残る花もある。[投票(1)]
★4カリートの道(1993/米)ドジの応報性がパチーノの悲劇を緩和。他方で喜劇というには構成の欠けるショーン・ペンの文系暗黒面。代わりに、メタボや竹内力らの肉体や知性の特性を利用した空間の解囲劇が、いい年こいたオッサンたちの織りなす現場主義の悲痛を訴える。[投票(1)]
★4黄金の七人(1965/伊)こんなに真剣に教授の幸福を祈っているというのに、このムッツリめ。教授の挙動への心理的接近を裏切るそのオプティミズムは、やがて受け手の女性嫌悪を糾弾し始める。[投票(1)]
★4女王陛下の007(1969/英)ドラえもん(ヤクザのオヤジ)を制御するのではなく、むしろ一方的な恩寵に依拠する話である。この万能感は、禍福の尤もらしさを堕落させる効果を持つが、オッサンの寵愛からウフフなパセティックを引き出そうとする問題意識は、三隅版の『斬る』を思わせる。[投票]
★4大いなる陰謀(2007/米)レッドフォード研究室からトム事務所を経てアジア内陸の高原へと、苛烈な前線へ近づくにつれて内容は空疎になるという逆転世界でロバートとメリルの縦皺と横皺が交歓する熟年映画の宴。トムは息するだけで面白く、政府要人コラ画像には腹が軋む。[投票]
★4セックスと嘘とビデオテープ(1989/米)スペイダーを鷹揚に造形した点では文系賛歌であり、そのニート生活も観察に価する。彼の造形がどこまで一貫するかという興味があればスリラーにもなろうが、最後に文系賛歌とナレートフィリアを対立させてしまう機序の理解にはしこりが残る。[投票]
★3バーディ(1984/米)ズーフィリアを、最後に着地する人間賛歌の当て馬としか考えていない割り切りが、画面に風情ある痕跡を残している。同衾に精を出すニコラスを動物園のつがいのように眺め、東南アジアには、パロディ寸前のジャンル記号の集積たるを求められる。[投票]
★2星を追う子ども(2011/日)肥大化した無意識のナルシシズムが、一人称を避ける自然主義の自我に目覚める。丸裸にされた自意識は、心理の間隙を恐れるかのように、事件の羅列を早漏のような尺で切り取り続ける。[投票]
★3スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団(2010/米=英=カナダ)成熟の明るい閉塞感は時への不完全な感応でもある。だとしたら、徳性の指標化によって、ノスタルジックなキッチュから審美的な責任を取り戻したい。[投票]
★34分間のピアニスト(2006/独)属性に由来する性愛を除くと、クリューガーを動機付けるものが薄い。自棄という感情の共有が、最後の最後でかろうじて救いになっていると思う。[投票]
★4ブラック・スワン(2010/米)ヴァンサン・カッセルのエロ顔が、アトラクションのように心許ない譫妄に詩趣を与えている。セーターを首に巻いて登場する所からキレているが、合法セクハラでもあり修行でもあるような不可視の官能に踏み入れた時、ナタリーの八の字眉は痛みある自足へ至る。[投票(2)]
★4新・平家物語(1955/日)時折、不安定な衝迫で受け手の不安を誘いながらも、パワハラに対する反応として雷蔵の欲望はよく理解できる作りになっているので、王朝物に仮託した近代化論としては、『山椒大夫』よりも受け入れやすい。[投票]
★3トリコロール/青の愛(1993/仏)夢想の中にある夫の風景が良き牽引となるように、セットアップから情報の減価償却に配慮があり、臆見するニートライフの観察がねむりの底から引き寄せられる。多淫な音響の意匠もエンタメとして割り切れば不快ではない。[投票]
★3突破口!(1973/米)ウォルター・マッソーの内面から受け手が閉め出された段階で、彼の禍福を観察して緊張する作劇は終わっていて、むしろジョー・ドン・ベイカーの、仕事と言うには性的すぎる生態と昂揚が主題に上がってくる。[投票(1)]