水那岐さんのコメント: 点数順
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(2007/日) | イラストレーターという立ち位置におりながら普通の男と、限りない優しさをもって接してきた母親の愛情の交錯と、それを神の目から冷厳に見下ろす鉄塔の物語。しかし、物語は多くの純愛物語がぶつかる、本人に感情移入できなければ無意味、という大きな壁の前ではなす術もない。むしろ演技陣の至芸を楽しもう。 [review] | [投票(3)] | |
新・平家物語(1955/日) | タイトルの期待を裏切り、物語は清盛の雌伏時代であえなくチョン。僧兵の軍勢が集結し、さぞや血の滾るスペクタクルが観られるかと思いきや、清盛の弓矢ニ、三本で…。溝口監督がいかに名匠でも、この肩透かしはほとんど犯罪的だ。雷蔵の清盛というキャスティングはミスキャストを飛び越えて愉快でさえあっただけに、なおさら。 | [投票(3)] | |
赤線地帯(1956/日) | 末期を迎え死に絶えようとしている往年の吉原を描くため、いかにも陰気なイベントばかりが羅列され、気が滅入る。やはり作為的描写ではあっても京マチ子の陽性は必要だったのだな、と痛感。若尾の狡猾さだけでは転げ落ちる女たちの末路描写の寒々しさはカバーしかねるだろう。ましてラストはあざと過ぎる。 | [投票(3)] | |
頑張れ!グムスン(2005/韓国) | ストーリーはハッピーエンドには素直におさまり切れない暴走ぶりだったが、まだ少女のイメージだったペ・ドゥナの主婦姿もなかなか板についていて愛らしい。…にしても、やはり物語の締めにはそれなりの完成度が要求されるのではないかな。ヒョン・ナムソプは乱痴気騒ぎを持て余して「泣き」に逃げた模様。 [review] | [投票(3)] | |
卍(1964/日) | 欺かれ続け、邪魔者扱いされるのが判っていても、なおも毒婦・若尾を追い続ける今日子がいじらしい。でも、こんな顔だけではらわたの腐った女に、今日子は翻弄されて悔しくないのだろうかと思う自分は、やはり人を愛する資格がないのだろうか。感情移入して観ていたら1点もおぼつかないが、そこは増村の手腕、飽きずに魅せられる。 | [投票(3)] | |
無法松の一生(1958/日) | 三船の滅法オトコの可愛さに溢れた演技は感涙ものだし、彼を憎からず思いつつも頑なに心の鍵を閉ざす高峰にも感服した。だが、戦前のテクニックで彩られたこの作品は、やはり旧作の亡霊としてしか観られないだろう。 [review] | [投票(3)] | |
Death Note デスノート 前編(2006/日) | 漫画原作がある以上それに従ってのことではあるのだが、主人公を美少年にする必要があるのだろうか?それは金子修介が一番よく知っている。 [review] | [投票(3)] | |
火火〈ひび〉(2004/日) | 焼き物の修羅と化し、我が子への愛情すらも表には見せずに情熱を信楽焼きに賭ける女の一代記であったなら、この映画の輝きは倍増したろう。だが、息子が死病に取り付かれたと判った途端、作品はお座なりな愛情物語に堕してしまう。 [review] | [投票(3)] | |
RENT レント(2005/米) | 連帯の時代だった20世紀中期を越え、ベトナム戦争の傷跡は癒えたものの、個人の幸福のみを追うに至った世紀末に製作されたこのミュージカルは、例えば『ヘアー』なども持つ貧しくもそれを乗り越えるパワーは持ち合わせない。だが本作の中には、瞠目させられる珠玉のことばがある。 [review] | [投票(3)] | |
陽のあたる場所(1951/米) | 言ってみれば「よくある話」。主人公に感情移入できるぶんには優れているのだろうが、悲劇のテクストとしてはもはや使い古された観があり、今更心を動かされない。ラスト、歩いてゆくモンゴメリー・クリフトに囚人たちが励ましの言葉をかけるが、あれは観客の代弁者として語らせているのだろうか? | [投票(3)] | |
ニワトリはハダシだ(2003/日) | なるほど、森崎東の怒りを思い切り叩きつけた「怒劇」なのはよく判った。しかし、その俎上に知的障害者問題、在日問題、警察の汚職や暴力団との癒着、果ては天皇制まで上げてしまおうというのは無理があり過ぎた。そのせいで描かれるべき一家族の成り立ちの描写が弱くなってしまったのは惜しまれる点である。 | [投票(3)] | |
ヴェニスの商人(2004/米=伊=ルクセンブルク=英) | シェイクスピアの凡庸な喜劇を、それなりに魅力のある「シャイロックの悲劇」に変貌させたのは、ひとえにラドフォード監督の手腕よりはアル・パチーノの熱演によるところが大きい。その証拠に、ポーシャ主従とアントーニオらの恋愛騒動という原作の見せ場のひとつは、シャイロックの描写に較べおよそつまらないのだ。 [review] | [投票(3)] | |
ミリオンダラー・ベイビー(2004/米) | ヒラリー・スワンクが文字通り体当たりの演技を見せる。これがイーストウッドのトレーナーとともに、おのれの才覚とガッツで成り上がってゆく物語…であった筈が、「シンプルなラブストーリー」へと道を曲がり始め、挙句の果ては…。これは気持ちよく観られない作品に成り果ててしまった。 [review] | [投票(3)] | |
キングダム・オブ・ヘブン(2005/米) | 西欧の歴史的暴挙のひとつであり、なおかつハリウッドの保守派映画人がいつかは撮りたい、と一度は願うファクト…十字軍。『グラディエーター』で歴史を凡庸に描き出したリドリー・スコットは、やはりこれを文句のつけがたい凡作に仕上げた。 [review] | [投票(3)] | |
真夜中の弥次さん喜多さん(2005/日) | 「紺屋の白袴」。宮藤は初監督にもかかわらず、思い切りのいい演出で飽きさせない玄人はだしの腕前。しかし、脚本家としての彼の才能は今回疑わしいものになっている。 [review] | [投票(3)] | |
オオカミの誘惑(2004/韓国) | 少女時代の斉藤由貴を彷彿とさせるイ・チョンアの天然ぶりに好感、彼女の争奪戦に出るふたりの喧嘩アクションは本物。それはいいのだが、後半でオレの大嫌いなパターンが出てきてしまう。ふたりのイケメンから一人を選ぶ方法はこれしかないのか? [review] | [投票(3)] | |
なまいきシャルロット(1985/スイス=仏) | 生意気…というかネコ科の少女だな、これは。 [review] | [投票(3)] | |
世界の中心で、愛をさけぶ(2004/日) | 長澤まさみの生き生きとした魅力が絶対的となる映画。彼女が『愛と死をみつめて』の吉永小百合すら為し得なかったことをしているのは賞讃に価する。しかし、だからこそ…。 [review] | [投票(3)] | |
ジャコ萬と鉄(1949/日) | 雇い主に孤島に置き去りにされ、死線を彷徨ったジャコ萬が、ああも簡単に態度を変えてしまうあたりに脚本の甘さを感じる。三船の荒削りな魅力は若さゆえ。ジャコ萬に追いすがる女ユキ(浜田百合子)の鬼気迫る魅力は本物だったが、飼い馴らされたあとの去勢ぶりは見苦しい。概してこの甘さは黒澤のそれのように思える。 | [投票(3)] | |
花(2002/日) | 追憶の女としての牧瀬里穂はこの上ない愛らしさを見せてくれて、彼女の歌う「胸の振子」など鳥肌の立つ思いで聴いていたのだけれど、これは誰の追憶なのだ、と考えるとはたと困ってしまう。 [review] | [投票(3)] |