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水那岐さんのコメント: 点数順

★3何もかも狂ってやがる(1962/日)現代では珍しすぎるくらいの生真面目な不良。教師に礼を尽くし、女には手を出さず、自分をどん底に陥れたエセ秀才を袋叩きにすることもない。俺の生まれた頃には、こういう正義漢のやさぐれ者が大勢いたのだなあ、などと騙されはしない。それにしてもシロウト少年の主人公と聞いたが、のちの麦人だった。デマで当然の演技力だ。 [投票]
★3いちどは行きたい女風呂(1970/日)小百合のパートナー転落の図。とはいえ等身大のダメ男に浜田光夫が脱皮するのにはいいチャンスだったかも。喜劇俳優としての方が生き生きしている。ほか、旬の夏純子が観られるのは嬉しい。タイトルの「女風呂」は生ぬるくただただ冗長。LSD、「家畜人ヤプー」と当時の性文化は知れ、むしろピンク喜劇としてけっこう贅沢。 [review][投票]
★3わんぱく戦争(1961/仏)共和制と友情と誇りを重んじるフランス少国民奮戦記だが、ラストの「救い」は妥当とは言い難い。『ウルトラQ』の「カネゴンの繭」などのOPはこの映画のオマージュだろう。ちなみに令和リマスター版のフルチン戦争は大幅にカットされ尽くしている。醜い時代だ。 [投票]
★3カミーユ(2019/仏)「溺れて死ぬ子らの前で報道は有益か」という命題がある。中央アフリカに拘ってウクライナへの上層部の転属命令を断り、あくまで同じ国で撮り続けた彼女は、「ここにいると落ち着く」と吐露した。難しい話だし、自分もその行動の意味を見い出す者には違いないが、「溺れて死ぬ者」の怒りも理解できるのだ。このアンビバレンツを提示しつつ、淡々と撮られたこの作品にも回答はない。[投票]
★3RE:cycle of the PENGUINDRUM 劇場版 輪るピングドラム [後編] 僕は君を愛してる(2022/日)いささか詰め込み過ぎ。感涙を誘うエピソードが頻出するテレビ版の後半のダイジェストとはいえ、ここまで名場面続きで見どころ続きでは泣くに泣けず、逆にジェットコースタームービーのようで失笑すら誘われてしまう。やはり不必要な見せ場を削ぎ落す勇気は必要だったろう。[投票]
★3まるだせ金太狼(2020/日)映画というよりはお下劣コントだが、『変態仮面』はこれくらい開けっぴろげで陽気、かつ明朗にやって欲しかった。「必殺技」ならぬ「恥っ殺技」は、観客が喜ぶと確信しつつ『けっこう仮面』をトレースしたのが正解だ。理屈を排し、あくまで下品さを正義として描くこと。この信念は正しい。まあ、正しかろうとバカなんだが。[投票]
★3暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャー(2023/日)全くのドンブラ目当ての鑑賞だったのだが、ゼンカイジャーも悪くはない。明朗なドタバタで、子供の愉しめる一片の影もない世界だ。しかし、商業的な意味以外にこの水と油の2作品を結び付ける理由は一切ない。 [review][投票]
★3ハニー・シガー 甘い香り(2020/仏=ベルギー=アルジェリア)少女映画によくある、性愛への憧れと無軌道な実践を描くような作品傾向のように誤読させる演出が続くのは不可解。そのほうが観る気を起こす観客が増えるとみてのことかも知れぬが、これは真面目な人権映画なのである。妙なカムフラージュのために時間を浪費しているようだ。主演のゾエはイザベル・アジャーニの姪。イザベルより親しみやすいか。[投票]
★3アリスの空(2020/仏)人形アニメなども交えながら、極力淡々と進む愛の物語。突き放したように描かれるそれはあまりに平穏で盛り上がりに欠けると感じたが、それは今も光明を見ず、あるいは異郷に逃げ延びて紛争の行く末を見守る難民のためだったとも気づく。我が国ではウクライナの一件で世界の状態に目を向けた向きも多かったようだが、世界はつねにこうだったのだ。[投票]
★3ヨーゼフ・ボイスは挑発する(2017/独)芸術家を名乗りながらも、むしろ社会的アジテーターの色彩が強いボイスの言行録。この時代に生きたアーティストとして御多分に洩れず左派的なイメージが色濃く、実際のところ彼の芸術は手段であったように見受けられた。前衛としてのダイナミックな作品に食指が動く自分は彼の寡作をこそ惜しむのだが、擦れ違う価値観は如何ともしがたいと知らされる。[投票]
★3イロイロ ぬくもりの記憶(2013/シンガポール)さすがに才気は香らせるものの、少年、母、父、メイドのいずれに物語の秤が傾くかが前半ははっきりせず、概して荒削りな印象は否めない混迷具合だった。後半において少年とメイドの接近が核を成すに至ればこれは成熟に至ったとみられ、アンソニー・チェンの手腕は明らかとなる。この勢いが全般に亘るものであってほしかった。[投票]
★3バーニング・ゴースト(2019/仏)かなり古風なメロドラマだが、主人公と恋人の関係はロマンティックな劇半音楽に支えられ、確かに胸をうつ。残念なのはそれ以前にこの作品における幽霊のルールが曖昧であり、どういった法則に縛られるのかが終わり近くまで説明されない点だ。特撮を使うシーンは「ここぞ」というポイントのみで、それはむしろあざとさを感じさせず好ましい。[投票]
★3ラジオ・コバニ(2016/オランダ)凄惨なテロルに晒された街で、ラジオを始める女性。家族の無残な死骸を見つめる子供も、またスポーツの輪のなかに戻ってゆく。それは強いのか、鈍感になったのか。でもやはり、ひとつところに立ち止まってはいられない。残酷に足首を掴まれてたまるかと娘は花嫁衣装をまとうのだ。日常への慈しみを取り戻さんと。[投票]
★3ロバマン(2019/日)内容はないに等しいが、笑福亭鶴光(ニッポン放送)VS吉田照美(文化放送)に加勢の伊東四朗が現われるという、往年のラジオリスナーにとっては夢の対決に聞き惚れた。みんな老いてしまったがトーク力は健在だ。ここはTBSのDJも現われてほしいという切なる願いがある。[投票]
★3夕方のおともだち(2021/日)目を背けたくなる痛いシーンもありながら、主人公を見つめる監督の視点は「変質者」と嗤う上から目線ではなく、一貫してあたたかい。また、主人公の生き甲斐を直視しカタチにするまではいかなかったが、その生き辛さを見つめ、未来を信じさせるエンディングゆえ許せる。テーマの語り足りぬ部分は多々あるが。[投票]
★3すすめ、カロリーナ。(2018/日)主人公の棋士と同じポーランド出身の動画家が監督を務める。若者の自信を、また葛藤、奮起を表すアイテムとしてコマが行動のたびに生まれ、散らばり、また騎士へと姿を変えて同行する。だが、あくまで主人公の行動はさりげなく、彼女へのエールもまたさりげない。東欧の空気ただようくどさのない演出が清々しい。[投票]
★3わたしたちの宣戦布告(2011/仏)徹底したエピキュリアンでエゴイストの夫婦の我が子闘病記。ここまで自分を見失わず、我が子を愛しながら遊び人を貫くならむしろ清々しい。「我が子が障碍者でチビでゲイで黒人になったらやだなあ」なんて暴言を吐けるのはフランス人をおいて他になかろう。傷を負う前に自分で自分に傷を負わせるような徹底した覚悟の賜物だ。[投票]
★3安重根と伊藤博文(1979/朝鮮民主主義人民共和国)判ったことは、安重根なる人物は朝鮮の大石内蔵助に過ぎないということ。一人一殺のテロリズムが歴史を変えるような時代はとうに終わっているというのに、彼という御輿を担ぎ出さねばならないのは、やはり国民受けする「義士」だからだ。 [review][投票]
★3好きになるその瞬間を。 告白実行委員会(2016/日)他人事として対応しているので、前回ほど素直でないヒネクレ男女の恋の顛末は胸キュン状態で見ることもできずイライラする。とはいえおっさんに胸キュンできる繊細な神経など残っている筈もないのだが。まあ異世界冒険のお粗末。[投票]
★3ハモニカ小僧(1940/日)玉石混淆とは当たらないかもしれないが、映画慣れした芦ノ家雁玉や清川虹子をまえに、我らが主人公たる川田義雄の芸人ノリのワンマン劇はどうにも噛み合わない。高勢実乗のゴーイングマイウェイぶりも危なっかしくて観ていられぬほどだ。やっぱりオペレッタ部分で川田の本領は捻り出せたようだ。まったくもって適材適所は大事である。[投票]