★3 | 矢崎仁司監督作に留まらず、趣向を凝らした陰影を画面に刻み続けてきた石井勲+大坂章夫の業績はあらためて讃えられてしかるべきだが、しかしこれはさすがに照明の引き算が過ぎる。少なくともこれがディジタル撮影/映写にとって最もあらまほしきローキイとは思えず、ふとフィルムのグレインが恋われる。 [review] (3819695) | [投票(3)] |
★4 | これも暗い画面が心地よい。そしてそれは、二つの異空間−名曲喫茶「無伴奏」と竹藪を抜けた茶室−の見せ方が良いということだ。どちらもローキーに徹している。特にこの茶室。増村保造の『千羽鶴』を想起する。 [review] (ゑぎ) | [投票(3)] |
★4 | 結局はこの顛末が主人公に何かをもたらしたわけでも無さそうで、寧ろ無いことが成海璃子のノーブル且つ無頓着演技で際立つのが清々しい。自己愛に浸りたいところを回避し得ている。大騒ぎの片隅で、ただただ無為に内省的な思索にふける時代性が心地よい。 (けにろん) | [投票(3)] |
★3 | 行き先知れずの窓のない列車内を思わせる喫茶店内。産道を遡り行きつく子宮のような竹藪の奥に潜む薄暗い茶室。そんな「途中」を象徴する装置の閉塞性や、細かな画面の切り返しと硬質な書き言葉セリフが、時代性を帯びた自主制作映画のような息遣いを作り出しす。 [review] (ぽんしゅう) | [投票(2)] |