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エピキュリアンさんのコメント: 投票数順

★3氷点(1966/日)どこかに設定された「善」の基準から人間を見つめるような原作の世界館への、それなりの批判としてこの映画を観ました。作者は神ではないのだから、原作のような視線で物語り全体を統治するのは、不遜なのではないですか?とこの映画は言ってるように思えた。だとしたら私はその批評に賛成です。[投票]
★5バンボラ(1996/仏=伊=スペイン)ベガス・ルナ監督は頭がいい感じなのに、作品は徹底的に身体でつくってる感じ。彼が世界的に有名な彫刻家だからか?美しい女、優しい男、凶暴な犯罪者などを映画のなかでぶつけてみて、常識や道徳を取っぱらったところで、それぞれがどんな存在なのか、探ってる感じ。死ぬほどいい女が出てくる存在論的にスケベな映画。[投票]
★4ニックス・ムービー 水上の稲妻(1980/スウェーデン=独)まず感じたのは、映画って作品は国籍をもつけど、作っている側には、物理的な意味での国境はないのが自然かも、ってこと。うまく言えないけど、映像は、つねに知らない国、未知の出来事へと、人を誘いつづけるから。どこかの国から来た物語、カメラ、そして監督。映画は、そういうものの総合なんじゃないかな。映画だけで出会った二人の、なんて感動的なこと![投票]
★5ツイン・ピークス(1990/米)閉塞された小さな田舎町を、まるで邪悪な一個の人格のように設定して見せてゆくところが、もうたまらなくゾクゾクしてハマったー。小さな共同体の猥褻さを、微視的に拡大してみると、こんなに面白いなんて!ハマった自分の猥らなのぞき見趣味に酔ってしまいました。今は監督だけど、製剤所の女主人役のジョアン・チェンの怪しさがすごく好きでした。永遠に続けてほしかったなー(笑)。[投票]
★4ジア 裸のスーパーモデル(1998/米)これはTV用の作品なんですよね。だから、全体にちょっと編集が緩い。でも、それを除けば、アンジェリーナは渾身の演技だし、ドキュメンタリー風のカメラマンや身近なひとびとのインタビュー風の構成は、面白かった。どこにも行き場のない「内面」をもったために救いがない人生しか選べなかった悲しさが、とてもよく表現されていた。[投票]
★4リストマニア(1975/英)確信をもった悪ふざけ、というか、暴力的におもちゃにされる教養主義、というか・・・。それぞれの音楽に匂う音楽家の「体臭」を映像化するとこうなる、ってのを、全力でやってのけるパワーに脱帽。音楽監督はリック・ウェイクマン。UKのロックミュージックがクラシック音楽の暗い暴力性や欲望と、昔から親和性が高かった理由が分かった気がした。でも、どうして亀頭だけモザイクが入るの?それが一番猥褻だった(笑)。[投票]
★4ピンク・フラミンゴ(1972/米)フィルムに「狂っちゃっている状態」をきちんと写すには、ただカメラの前でホントに狂えばいい、って分けじゃないんだもんね。それをちゃんと分かってる人がつくったんだなー、と安心して、下半身と脳ミソを開放してしまえる傑作。そしてなによりキャスティングが素晴らしい。[投票]
★2フラート(1995/日=独=米)ハル・ハートリーって、撮るほどに、ダメになって来ている感じがする・・・。ほとんど見てるんだけど、なんとなく、作家論で行くしかないような作風なので、どう点数つけていいやら、って感じです。ってことは、やっぱりダメな監督かな。ちょっと好きな匂いもするんだけどなー。[投票]
★5the EYE 【アイ】(2002/香港=タイ=英=シンガポール)そのシーンの感情と出来事を描くパン兄弟の才能とセンスは、ただ事ではない。無駄のない適切な編集。標準とマクロとワイド、各レンズの素晴らしい選択。的確で美しいフィルムの色彩加工(オキサイド・パンは、テレシネのカラーリストだったらしい。納得)。彼らは映画は技術であることを、知ってる。その技術を「物語と感情」に捧げている。ストーリーが弱い?いや、彼等は「感情」に興味があるんだと思う。[投票]
★46IXTYNIN9 シックスティナイン(1999/タイ)わたしは、これは拍手を送りたい。後半なんとかエンターテイメントしようとストーリーと格闘している感じも、高温多湿世界の無益な人生みたいで、好きです。諸行無常。カフカが、もしタイに生まれていたら、こういうの書いたかな(笑)。端から見たらギャグだらけな悲劇の連続に、わたしは笑いながら、くらーい気持ちになる、という類いまれな快感を楽しんでいました。[投票]
★4美しさと哀しみと(1965/日)演出も画一的なところがあるし、編集は説明的ではあるけど、演技から透けて見える出演している者たちの生来もってる異形さが、すごくよく捉えられていて素晴らしい。八千草薫が鳥かごを・・・のシーンには、あたしゃ仰け反ったし、加賀まり子の多重人格ぶりには、物語りなんて忘れちゃうぐらい惹かれました。美しい珍獣の、フィルム動物園って感じです。[投票]
★424アワー・パーティ・ピープル(2002/英)UKったって、ロンドンだけじゃないぜ!。リバプールだけ特権化するなよ!。って世界にいっぱつカマしとけ!という当時のマンチェスターの(ひとりのエリート意識丸出しの男がいたのがたまたまそこだった)音楽シーンの動機と、この映画が制作された動機が相似形なのが、悲喜劇としてとっても上質。どっちも十分自覚的だったんだもんね。分かっていても制御できない我欲と芸術と性欲のくそ人生だぜい。[投票]
★4チェルシーホテル(2001/米)イーサン・ホークは文字の人で、同時に生理で生きる人なのね。でも日本から見ていても「あの頃」は、ああいう感じだったので、あのホテルの空間に漂ってることがテーマなんだよね。見ていて、すごい猥雑な快感があって、よかった。あのホテルは、中には入らなかったけど、外から眺めても、エゴと俗と芸術の住処、って臭いがしたもんね。イーサンの嗅覚は的確だと思う。[投票]
★5キプールの記憶(2000/仏=伊=イスラエル)乾いて埃っぽい土、冷たく重い泥。鼻の穴の中が乾く感じ。ひりひりと乾燥した皮膚。それが破れて流れ出るベタ付く血液。痛みでしびれる背中。それらと対比される絵の具と性。まるで戦争は人間の本能のひとつであるというように常に「死」が臭っている。すごい映像だ、と思っていたらレナート・ベルタなのでした。[投票]
★4シカゴ(2002/米)フォッシーの作品って「俗」「すれた」「あこぎ」という意味でのSophisticationそのものだと思う。だから好きなんだけど、でも映画になった『シカゴ』がチョー魅力的なのは、その抵抗できないぐらい魅力的な「悪」を、R・ゼルウィガーにやらせたどこじゃないかな。舞台では不可能な表情のアップの多用と、危なっかしいレニーのダンスが、「目の前にこんな女がいたら、分かっていても騙されるかも」と思わせてAll that jazzだぜ。[投票]
★5キル・ビル(2003/米=日)げげ!面白すぎる!黒澤明が『羅生門』でリアルな切り合いを見せる以前は、チャンバラシーンって、こういうエンターテイメントだったんだよな(しかもテーマソング付き!)。細かなカット割りと音と血のりで迫力満点。北野の『座頭市』のCG殺陣よりこっちの方が恐かったぜ(笑)。って真面目なのねー、って思っちゃった。「映画」なんだから「なんでもあり」でいいんだよね。[投票]
★4唇によだれ(1960/仏)ファムファタルを求めながら、でももし出会ったら彼女を支える自信が自分はないので、出会う前から投げやりになっている男。でも、そんな情けない自分を癒してくれる女でいいや、と思いながらも、自分を乱すおんなに翻弄されたい男の話し。設定としては、かなり好きかも。[投票]
★3LIES/嘘(1999/韓国)自分のことは自分ではわからないけど「他者に自分の欲望をぶつける=他者に受け入れてもらう」という行為を繰り返すことで、自分の欲望=欠落を自覚してゆくことってあると思う。そういう過程をかなり正直に描いていて、刺さってくるものがありました。でも、マーロン・ブランドとか宮下順子とは言わないけど、もうすこし「象徴的」な役者だったらなあ・・・。[投票]
★5ドリアン ドリアン(2000/仏=香港=中国)実在の人物に想を得たとはいえ登場人物たちは素晴らしい存在感。大陸側から香港を描いた物語を初めて見て、そのコントラストにひりひりと感動した。内面を描かない分、その痛みは露わになるんだなー、と思った。でも、登場人物たちはドリアンを何回食べさせられたんだろう。それがいちばん辛いかも(笑)。[投票]
★5クジラの島の少女(2002/ニュージーランド=独)主役の女の子が、奇跡的に素晴らしい!!! さらに、ポリネシアンかアポロジニか分からないけど、おじいさんを始め登場人物の顔と身体が、素晴らしい。物語は典型的なものではあるけど、でも、その神話的な構造のなかで、それぞれに自分ってなに?って言う感じで生きようとする姿に打たれた。しかしニュージーランドって、スコットランドにどこか似ている。空と雲がとても表情豊かなのね。[投票]