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disjunctiveさんのコメント: 投票数順

★4パラサイト 半地下の家族(2019/韓国)事が進むという充足をもたらしつづけるガンホ一家の有能さが社会時評を無効にしている。あまりにも有能であるから、彼らの窮乏は一時的なミスマッチであって、遠からず旧態に復すると思わせる。事実、劇中ではそうなってしまう。 [review][投票(5)]
★4カメラを止めるな!(2017/日)演出家が演技をすることで本音を出せて役者に報復しえたように、事象のトレスで人格の本質が顕れ、かえって自由になれてしまう。反復であり答え合わせである記述という営みが何ゆえ美的経験をもたらすのか。 [review][投票(5)]
★4アウトレイジ 最終章(2017/日)マレビトであることがハニカミになればピエール瀧の造形となり、選ばれたことの後ろめたさとなれば老人たちの若い衆への配慮となり、引いては自殺願望になる。そのお馴染みの願望は肉体の老化が精神に追いつくことでもはや自然死のような様相を呈している。 [review][投票(5)]
★3わたしは、ダニエル・ブレイク(2016/英=仏=ベルギー)心臓に爆弾を抱えた老人を酷使して醸成するスリラーにあって技術的な課題となるのは老体を稼働に追い込む状況の構築であり、官僚制の不条理が今回は利用されている。 [review][投票(5)]
★4ストーカー(1979/露)古戦場で右往左往しつつ草むらで昼寝して水辺で戯れる薄毛オッサン三人組の姿態を観察するアイドル映画である。 [review][投票(5)]
★3そして父になる(2013/日)これは、よほどフランキー側に問題がなければ現状維持が妥当で、そもそも観察に値する現象とは思えない。それを無理に物語の形に落とし込むため、福山の造形が紋切型になる。 [review][投票(5)]
★4ゴーストライター(2011/仏=独=英)庭師のおやじさんの帽子を嗅がずにはいられない陰性の好奇心と当然の応報を喰らって軋む顔面。オリビアの挑発に乗せられ露呈する臀部。出版記念パーティーで放たれる何も考えていないドヤ顔。ユアン・マクレガー、文系暗黒映画の最前線を逝く...またしても。[投票(5)]
★3レスラー(2008/米=仏)総菜屋の過密な情報量を縫って、エプロン着装のロークが体を駆り立てる。嫌がりながらも習熟は進み経過観察のエンタメが出てくる。こんなものが面白くないわけがないのだが、ここまで器用な彼が窮地に陥る不可解に思い至ると、映画の作為が気になり始める。 [review][投票(5)]
★4ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019/米)メリルからローラ・ダン、 シアーシャ・ローナンへと世代を経るごとに伸展する馬面。爆縮レンズのように、馬面に四方から圧されたローレンス・ピューの丸顔はその球形を際立たせ、馬面一家の不穏を引き受ける。 [review][投票(4)]
★4最も危険な遊戯(1978/日)声だけ聴いてれば原田芳雄パロで済ませられる。ガタイが異なるから原田を肉体の内に同定できない腹話術のような実存の不安が生じる。それはトランスジェンダーのような中性的な口振りであったり、歩くだけで曲芸になってしまう重心高い体のブレであったり。 [review][投票(4)]
★4ミッドサマー(2019/米=スウェーデン)第一の難関、アジの開きでゆるふわなゴアという芸術が達成されている以上、あとは行動を通じた事態の再演と点検に過ぎないから、そういう曖昧な時の経過に身をゆだねるフローレンス・ピューの幼児体型のフワフワには抗しがたい蠱惑と嗜虐を誘われるものの、 [review][投票(4)]
★4悪人(2010/日)たとえば、ママチャリのリングロックの開錠音が奏する貧困の轟きのような、深津絵里の薄幸を図像化する試みが成功しているだけに、満島ひかりという女難の襲来に脅かされるロードムービーが辛抱堪らなくなるのである。しかし、本当の女難は満島ではないのだ。 [review][投票(4)]
★4運び屋(2018/米)プロローグが12年前設定で演じ手が米寿の老人であるから、ここから12年飛んで本編に入ると、この老人は何者なんだとならざるを得ない。あとはもう死人の夢で、その内容はヤクザ社会の方々で歓待されてしまう『哭きの竜』のような稀人ヤクザ物である。 [review][投票(4)]
★4哀しき獣(2010/韓国)むちゃくちゃである。キム・ユンソクの戦闘力はともかくタクシー運転手ハ・ジョンウのそれは意味が分からない。ジョンウが内偵の過程を通じて見せる甲斐性もキャラ立ちを不明瞭にする。こんなに仕事が出来てなぜタクシーを転がすのか。 [review][投票(4)]
★3ダイナマイトどんどん(1978/日)戦略兵器たる北大路欣也の自罰感情にすべてが左右される清算的な状況こそ、この社会時評が糾弾する態度そのものではなかったか、という悪しき再帰性の局面が、田中邦衛の軟体動物のような投球フォームに官能的な撓りを与える。[投票(4)]
★4駅 STATION(1981/日)大晦日に場末の飲み屋で高倉健と倍賞千恵子が黄昏る苦悶を味わいたく、20年ぶりに再見したのだった。しかし黄昏るには不穏すぎる。東宝製70年代刑事ドラマに民子物をぶち込んだ暴力的な構成で、とらやにミサイルが直撃したかのような触感なのだ。 [review][投票(4)]
★3パターソン(2016/米)アダム・ドライバーの如何にも暗黒面なタイプキャストの不穏で盛り上げるイヤらしさをファラハニが救っている。彼女の痛ましい天然さがカップケーキという生活力に拡張され、好ましさに変わることで。 [review][投票(4)]
★4アシュラ(2016/韓国)ビッグブラザー並に知らないことはない検察側がキャラのプライバシーを許容しないために、修羅場に直面した人間の機知ではなく、むしろ覚悟と開き直りを観察する、対比列伝のような根性論が志向されている。 [review][投票(4)]
★3哭声 コクソン(2016/韓国=米)話の通底にある啓蒙の教化力とそれに伴う実証精神がシャーマニズムを喜劇に見せずにはおかない。そんな中にあって悲劇を構成するのが、どこかで致命的な選択をしてしまったという、難病物が追及する感傷に近いものである。 [review][投票(4)]
★4沈黙 -サイレンス-(2016/米)棄教とリンクする必要から曲芸的とならざるを得ない人々の死に様が、サムライコマンダー菅田俊の東映特撮ヴォイスから浅野忠信の安定のサイコパス顔に至るカオスも手伝って、国籍不明のアトラクションになっている。 [review][投票(4)]