★4 | ソーシャル・ネットワーク(2010/米) | 『ゾディアック』以降自身のスタイルを模索してきたフィンチャーの新たな結実。驚異的なテンポの良さ。冒頭の会話から躍動感があり引き込まれる。 [review] | [投票(18)] |
★4 | ぼくのエリ 200歳の少女(2008/スウェーデン) | 詩的で面白いヴァンパイア映画だ。最初から最後まで緊張感が途切れない。ただし、近年まれに見るほどの最低最悪な邦題には物申す [review] | [投票(12)] |
★3 | 八日目の蝉(2011/日) | 然るべきロケ地を選び、然るべき人数を動員し、手間暇かけた撮影・演出で製作する、このような日本映画を観たのは本当に久しぶりのような気がする。まずそこが嬉しい。レビューは「八日目」について、自分なりの解釈。 [review] | [投票(9)] |
★3 | プロメテウス(2012/米) | IMAX3D字幕版。リドリー・スコット久々のSF映画!としか認識しておらず、不覚にも『エイリアン』シリーズの新作(というかセルフリメイクに近い)であることを忘れていた。つまり予想外にグロい。中盤のアレは1作目のチェストバスター登場場面に匹敵するんじゃないか? [review] | [投票(8)] |
★3 | 冷たい熱帯魚(2010/日) | 怒鳴り合う役者陣の熱気やマジで現実にいてもおかしくないでんでんのシリアルキラーぶりなどは買うが、色々と粗が目立つので手放しで褒められるような作品ではない。 [review] | [投票(8)] |
★4 | 女神の見えざる手(2016/仏=米) | 素晴らしい。会話において人が立つ/座る/机を迂回する/振り返る/背を向ける、といった動作をしっかり取り入れ退屈させない。オフィスの机やビリヤード台を挟んだ会話の面白さはどうだ。会話主体の難しい題材を見事に映画に仕上げていると思う。 [review] | [投票(6)] |
★5 | 風立ちぬ(2013/日) | 『ポニョ』に立ち込めていた死の匂いが転化し、老境の官能とでも呼ぶべき鮮やかさが全編に漲っている。傘、帽子、雨、雪、火事で舞う火の粉、煙、流れる雲、そして飛行機。それらを包む「風」。文字通り「風が立つ」瞬間を可視化させるための、一連の浮遊物。飛翔と風に対する狂おしいまでの表現欲。嗚呼、説話の経済的効率など大空の向こうへ吹っ飛ばす、瞬間瞬間のみの運動に立脚した宮崎駿の最新作はやはり傑作であった。 [review] | [投票(6)] |
★2 | TENET テネット(2020/米) | 順行と逆行運動を同画面に同居させて見たことない映像を作ろうとの意気は買う。問題はそれが1ショットで明快に撮られている画が無く、どのアクションシーンも端的に死ぬほど見づらい。ベトナムの洋上とロシアの戦場を並行して繋ぐシーケンスも場面の緊張を損ない、ただただトロさを増してるだけ。 [review] | [投票(5)] |
★3 | デッド・ドント・ダイ(2019/米) | 粋な台詞回しは結構あったけど、オフビート感の創出は過去作ほど上手くいってないとは思う。ジャンル映画としても物足りなさが残る。 [review] | [投票(5)] |
★5 | ムーンライズ・キングダム(2012/米) | 初期作にみられた毒やスノッブ臭さは薄まりつつも構図・色彩・カメラワーク・スロー等作家性は維持し、演出力自体も更に向上がなされていて、乗りに乗った無敵感さえ漂う。ウェス・アンダーソンは名実共に現代アメリカ映画を代表する監督に成熟した。一様なアップの撮り方に疑問を持つ部分もあるが、子供たちの顔つきが皆良いのでよしとしよう。 [review] | [投票(5)] |
★4 | 007 スカイフォール(2012/英=米) | シチュエーションは良いのに、アクションの爽快さが最大限追求されていないモヤモヤ感が残る。例えば「肩の傷」「籠城戦」「ナイフ」などのギミックが面白さにまで昇華できていない。最大の貢献者はメンデスではなく撮影のディーキンスだろう。とは言いつつも、この懐かしい安定感は正直嫌いではない。 [review] | [投票(5)] |
★4 | ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012/日) | かつて映画史において、過去作の積み重ねをこれ程までに放棄した「3」があっただろうか・・・ひょっとすると、これは観客が史上初めて遭遇する事態なのかもしれない。だがそれ故個人的には今までのシリーズで一番面白かった。『序』『破』よりエヴァらしいし、旧劇のような迷いもない。監督の描きたいことをきちんと描けている感覚がある。ある意味庵野秀明版『崖の上のポニョ』。(少し追記) [review] | [投票(5)] |
★4 | 荒野のストレンジャー(1972/米) | 特異なルックを志向する事はそれだけで強みになる。赤ペンキと炎に包まれた街は文字通り地獄のようだ。また、小人も含め住人全員に陰りがある=根っからの善人がいないのも厳格かつスリリング。いささか乱暴な繋げ方になるが、私は『ドッグヴィル』のような印象を持った。 | [投票(5)] |
★5 | SUPER 8 スーパーエイト(2011/米) | もし私がこの物語の子供たちと同世代だったなら、☆5どころか千点以上付けても惜しくはない。児童向けモンスター映画としては過去最高級の出来だろう。しかしそれ故に満点を付けるのが躊躇われる「甘さ」もある。4点か5点で迷ったが・・・ [review] | [投票(5)] |
★3 | シン・エヴァンゲリオン劇場版(2021/日) | やってることは旧劇のレベルと変わらず、抽象的な空間で戦闘と会話を繰り返すだけで正直うんざりなのだが、もういいんじゃないだろうか。これは90年代半ばにTVシリーズと旧劇で傷付いた魂たち(庵野含め)を浄化するセラピーと割り切ろう。いくらでもケチをつけられるが、振り上げた拳に怒りを込め続けるには20数年は長すぎた。こちらも年を重ねて疲弊している。何でもいいから決着をつけて次に進みたいのだ。 | [投票(4)] |
★4 | ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019/米) | [ネタバレ?(Y2:N5)] 芯のないお話の傍流を濃密な演出(頻出する歩行する脚のカットや馬の疾走、車で街を流す画やクレーンショットの数々。映画が盛り上がる)で描き、演技論を語る少女(2回あるアップの美しさ!)やヒッチハイカーとの会話など何気ない場面も飽きさせない。今回はアルトマンの流儀できたかと思わせる。忘れた頃に出てくる火炎放射器に爆笑。 | [投票(4)] |
★4 | グレイテスト・ショーマン(2017/米) | 大いに楽しむ。冒頭のThe Greatest Showの終わりにショーウィンドウの向こう側の衣服と窓に映った少年のショット、続いて少年が視線を下に移すバスト、そして穴だらけの靴。これだけで状況を把握させるオープニングに期待感が大きく増す。 [review] | [投票(4)] |
★4 | 早春(1970/英=独) | 傑作。映画館の光と闇(なんだ、あのポルノ映画は!)。娼婦の応対。プールに水が貯められていく間に声も反響する。どこか非現実的な感覚がどんどん増幅されていき、物凄いラストショットに結実する。主人公が劇中で夢想した状況の現実化であるのにも関わらず、全てが破綻した瞬間でもあるという二律背反性。言葉では表せない引き裂かれた感覚を持つショット。これぞ映画だと思う。 [review] | [投票(4)] |
★3 | ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション(2015/米) | 冒頭の飛行機スタントが一番つまらん。目玉のショットも、あの見せ方では合成と変わりがない。あのショットの目的は「地上からの距離の増大によるスケール感・落下のサスペンス醸成」にあるが、あのカメラ位置ならばショットをより長くし、地上に何か移動物か大きい物を配置して画面手前のクルーズと対比できるようにしておかなければ。落下のサスペンスならクルーズが機内に吸い込まれるショットの方が余程マシ。 [review] | [投票(4)] |
★4 | フライト・ゲーム(2014/米=英=仏=カナダ) | 恐らく辻褄やトリックなどのずさんさに批判が集中するであろうが、果たしてそれが映像藝術たる映画の核になりうるものだろうか。ジャウム・コレット・セラはまたしても「面白い」、脚本段階では面白さが宿ることの無い、「演出」の映画を撮っている。小道具が小道具として機能し、人物が人物として躍動し、視点がきっちり視点として存在する。これが映画である。忘れた頃にやってくる娘のリボンに泣く。傑作。 [review] | [投票(4)] |