『デモンズ』の続編｡今回は高層マンションを舞台にしている｡

デモンズが現実に現れるまでの展開や人間がデモンズの餌食になる恐怖演出などは前作の構成とほとんど変わらない｡ただ今回は人間が閉じ込められる空間の設定に説得力がある点とラストの脱出が唐突な展開でなかった点で違いがある｡

映画としては前作にも言えることなのだが説明不足で理不尽な展開が多く恐怖シーンでも恐さよりも不可解な点の方が目立ってしまっている｡特に今回の場合はデモンズがTVを突き破って現れる展開なのだが､なぜそんなことが出来るのか説明がない｡前作ではデモンズになる要因にデモンズの仮面をつけたからという理由があっただけに今回はデモンズが現れる展開に納得いく説明が欲しかった｡また前作では傷つけられたか体液を浴びない限りデモンズにはならなかったのに今回はデモンズの血が肌に触れただけでもデモンズになってしまう｡またデモンズの中から新たなデモンズが生まれる原理の説明がないところや理性を失うとデモンズになる定義が不鮮明なところも前作と同じ｡

説明不足な点を考慮して見ても､なんでもありな設定ではデモンズに人間が襲われるシーンでも映画への興味を減退させるだけの要因である｡特に今回は家族愛が試されるような展開がいくつかあったので､もう少しドラマ性を高めて重みを出してもよかったのではないかと思う｡

アクションシーンも前作以上に増え､ひたすらデモンズと死闘を繰り広げているが､おせじにも盛り上がっているとは言いがたい｡これなら初めからストーリー性を貫いて少しは感動できるような話にしてもよかったように思う｡

マンションを脱出した若夫婦のラストの展開が希望のある前向きなオチだったのと両親をデモンズに殺されるところを悲しげに見つめる少女イングリット役のアーシア･アルジェントの演技が素晴らしかった点が唯一の救い｡