[コメント] 奇跡の海(1996/デンマーク=スウェーデン=仏=オランダ=ノルウェー=アイスランド)
手ブレキャメラと神懸かり女。この人を見よ!と叫ぶ映画。そして映画に向けられた女の三度の眼差し、「これでよいのですね?」。福音は誰の手によるものか。〔3.5〕
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
映画は映画だ!
まずはそうはっきり言わねばならない。映画を信じるとはそういうことでしかないはずだ。それはツクリモノ、出来合いの演劇を切り張りしたものに過ぎない。だからそれを信じる為には、それはそれだ!と、つまり映画は映画だ!と言わねばならない。少なくとも私にとってはそうだ。
それは映画だ。映画にはそこに映っているものしか存在しない。その閉塞と自由。 この映画の作り手は、おそらくそれを閉塞として感受した。だから、その閉塞を突破しようとした。その為には神懸かり女が必要だった。結局映画に本物の神は降りてこない。降りてくるのはいつも括弧つきのツクリモノの「神」だけ。だがそこに本気の神懸かりの女がいれば、あるいは神は降りてくるのかもしれない。その為にはその女は神経症や分裂病、つまり病んだ人間などであってはならない。その本性は、端的に「善(good)」、そう断言されなくてはならない。
果たして神は降りたか。私は知らない。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (3 人) | [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。