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[コメント] ミニパト(2002/日)

たとえ、誰がなんと言おうと絶対支持!これこそが私の好きな押井守作品の部分なんだから仕方ないじゃない。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 「吼えろ リボルバーカノン!」:ロボットアニメが持つ構造的な、それ故致命的な欠点。それは、先ずロボットありき。と言うこと。つまり設定段階の一番最初に来るのがロボットのデザインと、その携帯兵器だと言う事実である。当然その設定は後回しにならざるを得ない。つまりどういうパトレイバーの持つ拳銃は、最初に設定も何もなしに、存在した。よって後になってから、その必要性、又は弾の構造などがようやく設定付けされる。この話は、要するにその後付けの設定をいかにリアリティづけるか、その涙ぐましい努力の成果である。当初20mmリボルバーカノンと呼ばれたハンドガンがいつの間にか37mmになっているとか(48mmはないとおかしいとも言及されている)、ホロー・ポイント弾しか装備できないはずの巨大拳銃の弾に弾頭がついてるとか…それをどう説明付けるか、あるいはほったらかしにするのか。製作者の苦悩を描く。

 「あゝ 栄光の98式AV!」:ロボットアニメはデザインから入る。だが、“格好良さ”を追求するあまり、気が付いてみたらとても実用性の感じられないデザインになることが怏々として存在する。押井氏の考えたパトレイバーはそもそも“出動する度に必ず壊れるボロボロのレイバーを何とか稼働状態に持っていこうとする落ちこぼれ部隊と整備班の物語”だったのだが、そのデザインをヒーロー・ロボットしかデザインしてなかった出渕裕に頼んだところ、とんでもないデザインが出来てしまった。それを強引に物語に持って行かざるを得なかった監督の努力の話(これが出渕氏の言葉によると、全く逆で、押井氏からは「犬の顔をしたロボットをデザインしてくれ」としか言われておらず、スポンサーからはヒーロー・ロボットのデザインを求められたから、と言うことだが…)。

 「特車二課の秘密!」:「警視庁の金食い虫」と言われ続けた特車隊が、何故に存在し続けることが出来るのか。資金面のリアリティという観点からパトレイバーを見た時、どのような物語が存在し得るか。その観点から物語の構造そのものを見つめ直す。

 (以上、限りなく構造的にこの作品を捉えたレビューと思って頂きたい)

 私が押井守に惹かれる訳、そして私自身が極めて理屈っぽくなった理由。その一端は間違いなく押井守という人物にこそある(これが「責任転嫁」と呼ばれることは自分自身、充分承知してるが)。故にこそ、こういった理屈しかない主張は私にはとても心地よい。

 で、この作品を一言で称すると…

 傑作。

 と言おう。押井守作品中、最も好みな部分が詰まった作品だ。

(評価:★5)

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