[コメント] あじさいの歌(1960/日)
日本映画史に埋もれているが、これは正真正銘の傑作。滝沢英輔はさすが鳴滝組の生き残り。年季が違う。実に気持ちのいい映画だ。登場人物が皆良く描けている。裕次郎はいつもながらで置いておくとしても、芦川いづみはもう彼女以外にこの役を考えられないようなハマリ役。
脇役陣も頑固一徹な東野英治郎、轟夕起子の貫禄、大坂志郎の情けなさがすこぶるいい。また北林谷栄と殿山泰司の使用人コンビが笑わせてくれる。しかし、なんと云ってもヒロインの芦川いづみが良く出来ている。例えば彼女の台詞回しの美しさがよく発揮されている。東野と轟の対決シーンでの彼女のモノローグ「お母様も立派な方だわ」なんてもう本当に唸ってしまった。お話は少女漫画的というかご都合主義だらけだし、中原早苗と石原裕次郎の関係等食い足りない部分もあるのだが、しかしこの滝沢英輔の演出は立派なもんだ。まるで小津映画そっくりな斎藤高順の音楽の爽やかさも奏功している。
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