[コメント] (ハル)(1996/日)
往復書簡体の小説のようなことが、メールなら映画でもできるのだなあと感心。でもそれはこの映画だからできたように思う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ともかくこの思いやりに満ちた(ハル)と(ほし)のメールの文章の美しさ。これなくしてこの作品の成功はありえない。森田監督の脚本が素晴らしい。だからこそメールのタイトルがダダっとスクロールされていく時、その何の変哲もないタイトル群に、作品では紹介されないそれらの内容の素晴らしさまでもが洪水のように飛び込んでくるのである。
これだけだったら活字でもいけるし、むしろ活字向きであることは否めない。でもメールの中で書かれていたように「(メールの中だけの相手であった)あなたが、実際に形のある人間とわかったということが嬉しい」みたいなテーマは、実際に新幹線での逢瀬という映像体験でもって実感として印象つけられるわけだし、何と言っても深津絵里は活字には代えられない。彼女の小さな体が赤いワンピースでそんなにハンカチをふるのです。…もう中原中也ですね。
「会いに行く」という、ただ一点の行為の素晴らしさ。それを描くためにだけこの作品はあったのかも、と思えるくらい、彼女のそれまでの寂しげな表情が明るく移ろっていくすがすがしさ。ラストの笑顔の愛おしさは最高です。
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