コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] クロエ(2001/日)

黄金パターンを現代風にまとめた作品ですね。演出にもうちょっと頑張って欲しかったです。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 風変わりで不思議なラブストーリー。死に至る病の闘病生活を送る恋人を必死に看病するパートナーという構図は、古くは『愛と死をみつめて』(1964)や『愛と死の記録』(1966)から連綿と作り続けられる邦画の黄金パターンの一つ。分かっていてもこれは結構涙腺を刺激されるもんだ。

 本作も確かにそのパターンを踏襲しているが、なんか物語が不思議とふわふわしているというか、どんなに命が危ないとなっても、危機感が薄いというか…つまり新世紀になって台頭した監督作品の設定にはめ込んでいるのが特徴か。

 ここで高太郎は確かに妻であるクロエを愛しているし、そのために尽くそうと思っているらしいことはよく分かるのだが、彼にとって世界はそれだけではない。人間関係が希薄に見えても、やはり外のつきあいはあり、それぞれ妙な具合に命に関わる事件に関わっており、そちらの方にも意識を持って行かれてしまい、クロエから意識が離れてしまうこともしばしばあり。看病してる姿も、「より大切なのはどちらか?」という二者選択のなかで結果として妻の方を取ってる。というイメージもあり。愛憎劇をドロドロとさせないのは好感を持つのだが、なんか切実度が足りないというか、泣かせようとしないというか、観終えた時も、ちょっと首を傾げてしまう作品だった。

 設定とか面白いし、意外な所に意外な人物が出てきたりして(塚本晋也、鈴木卓爾、青山真治という映画監督やアーサー=ホーランドというキリスト教宣教師まで)、その意味では楽しめる。ただ、演出がちょっと。台詞が分かりづらいのも問題かな?

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。