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[コメント] イースト/ウエスト 遙かなる祖国(1999/ブルガリア=仏=露=スペイン=ウクライナ)

冷戦時代のソ連と呼ばれし頃のロシアを舞台に描く壮大な人生のドラマ!。流麗な映像と筆力ある脚本、それに確かな演技力が絡み魅せる。雪が、ただひたすら白く、美しい。
TOBBY

**ネタバレ注意**
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ヒストリカルな視点で描かれる脚本は、観客に想像だにしなかった当時のロシアの残酷さをストレートに伝える。フランス人と言うだけで残虐な仕打ちを受けるボネールの姿に胸がキリキリ痛むが、これも言ってしまえば映画。実際はもっと恐ろしく暴力的であり、殺人も頻繁だったのであろうと想いを馳せると緊張感が漲って画面から離れられない。オルグ・メンシコフが重厚な演技で理由ありき不倫を演じ、時をかけて計画する行いはラストで感銘に至る。最初は、ただひたすら儚く弱々しかったボネールが、置かれた境遇と時の経過により、利口さを兼ね備え強くなってゆく変貌の様もリアル。天涯孤独になった青年(セルゲイ・ボドロフJr.)の心情と水泳をクロスさせて描く映像センスも心に響く。ドヌーブも、このスケールの大きなドラマできちっと必要な役回りを存在感を持って堂々と演じており好演。個人的には家族の為に舞台上で、本心とは裏腹なスピーチをさせられるメンシコフとそれを客席から、何故?と問う妻ボネールの視線が静かに交差するシーン…忘れられない。監督の最後まできちっとテーマ性を失わせず緊張感を保ち、家族の絆までも描ききった才に敬意を表す。そして改革を行ったゴルビーに乾杯。

(評価:★5)

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