群像劇の逸話は玉石混交。火野正平のチンピラに輝き薄いのが弱いし、暗殺と結婚式のカットバックなど当たり前に過ぎる。しかし小池朝雄の『ゴッドファーザー』はなかなか素敵だし、しっかり狙わんかいとハジキに詰め寄る菅原文太はションベンちびりそうになる大迫力だし、高橋悦史のシニカルなラストは決まっている。

鶴田浩二がしばしば痴呆症のような表情を浮かべるのが気になった。心臓病の演技とは関係ないのではないか。科白を云う度にカットが変わるのも気になる。終盤の解散云々は佐分利・高橋のシニックのための前振り以上の意味がなく、熱演が何か気の毒。