夏休みのある日、部活の為に登校した。見慣れぬ黒いワンピースの制服を着た女の子達が裏階段でたむろしていて、私服の男の人も数人。他所の学校の人が何の用なのだろう？と思った。後日、『櫻の園』を観て撮影していたのだと知った。

女子校じゃなかったし、あんなに綺麗なものでもなかったと思う。でも、教室の窓からこぼれるやわらかな光、先輩達の笑い声、友達とのたわいない会話、屋上で一人考えたこと、ツタのからまる薄暗い礼拝堂、図書館のかびくさい臭い、あの頃は毎日教室へ向かった、もう二度と歩くことのない暗い廊下。

あの頃、つみきみほが座っていたあの階段に、私も座って、世界を眺めた。

でも協力した学校にウチの母校載ってないんだよね〜。多分名前を出さないって事で撮影許可したんだと思うけど。でも別にいいや。文字に残してくれなくてもいいや。