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[コメント] 精霊流し(2003/日)

ぜひ、さだまさしさんの『椎の実のママへ』(「親父の一番長い日」のB面だった)という曲を、聞いてください。この話しの大元になっている名曲です。
プロキオン14

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







その「椎の実のママへ」という曲の存在を、たまたま知っていたから、小説は未読でしたが、TVで坂口憲二主演で放映された時に興味を持ち、毎回楽しみにしてみていました。で、終盤ハンパじゃないくらい泣かされて(どこかの少年審判で、裁判官が例えに出した「つぐない」という曲のエピソードまででてきた)、だいぶ「椎の実」とは違う部分も多かったんだけど、とても心に残るドラマになりました。

で、映画版は、主人公が坂口憲二より、さださん本人に近いのかな、って思ったのが第一印象。TV版は、主人公「まーちゃん」の青春記だったけど、映画は主人公と叔母の関係って部分がメインテーマか。あと、とくえちゃんが魅力的になっている。どちらも「死」の部分はアッサリ流して、比重をおかず、最後の「精霊流し」で盛り上げるところが、やっぱりイイ。(バラのお話しのとき、もうすこしBGMが控えめだったら・・・)。

まーちゃんより、セツ子叔母さんと春人の関係をもう少し盛り上げて欲しかったかな、と思ったりもしたけど。

最後に『椎の実のママへ』のストーリーを簡単に紹介。見たくない人は飛ばしてください。

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・・・戦前、中国の漢江で若くして結婚した「彼女」は、やがて一人息子をもうけるが、夫婦それぞれ別の愛を繰り返し、やがて離婚して、幼い息子とともに故郷の長崎に戻ってくる・・・

・・・親戚にも疎まれるなか、彼女は「椎の実」というジャズバーを開く。いつも店の中は、陽気なジャズと若い男達とタバコの煙にあふれていた。「僕」と同い年の息子は、そんな環境の中、一度はグレたが、やがて立ち直り、「いつか母さんの店を手伝いたい」という・・・

・・・若い息子は、やがて恋人が出来た。そんな頃、彼女はある病気にかかり、不治の病である事を知り、愕然とする・・・

・・・まさか、息子が彼女より先に死んでしまうなんて。恋人と海に出かけて、オールを流され、海に飛び込んだ、それっきり彼は戻ってこなかった。彼女は「死ぬのは私でよかった」と自分の荒んだ過去を悔やむ。「僕」は息子のために曲を作った・・・

♪去年のあなた(春人)の思い出がテープレコーダーからこぼてれきます・・・

♪あなたの愛した母さん(セツ子叔母さん)の今夜の浴衣はあさぎ色、いつの間に年老いて・・・

・・・その頃から、彼女は「ぼくの歌」を愛してくれるようになった。そして、親族の心もようやくひとつになった。彼女が天国へと旅立った夜、皆涙を流した・・・

・・・さよなら、椎の実のママ。さよなら、僕の叔母さん・・・

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というように、この歌はセツ子叔母さんと春人のために作られ、「精霊流し」という歌は、その中で春人の恋人(とくえちゃん?)の目線で作られた歌なんだということがよく判ります。参考までに。

(評価:★4)

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