[コメント] 酔っぱらった馬の時間(2000/仏=イラン)
この映画で最も重要なことは、バフマン・ゴバディという1人のクルド人映画監督の名を記憶することであろう。気にはしつつもそれを怠っていた自分が恥ずかしい。
クルド人の現実に基づいたという厳しい物語も衝撃だが、真の衝撃はこの映画から溢れ出る画の力と確かな演出力。何気ないショットにも非常に厳密な監督の意図を感じるのだが、その映画への思いは、描かれているものの厳しさに反して実に心地よい。
とりわけ暗くなりがちな画調に配慮した色の演出が素晴らしい。鮮やかな色が衣服やラバに取り付けられた小物に実に自然な形で配されているという繊細さ。そういう繊細さを持ちながら、なおかつ力強く訴えかける画を撮るのは容易ではない。
クルド人によるクルド人の映画である本作の、鑑賞後しばらく経った今も褪せることがないその画の力を思い返し、世界というものの広さを改めて思う。
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