[コメント] 雲ながるる果てに(1953/日)
実際に戦争を知っている人間だけが作れる作品とも言える。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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家城監督の出世作。何らの美化作用も入らない特攻隊の姿を描いた良作戦争映画。
太平洋戦争末期の特攻隊を描いた作品は結構多い。それでも出来不出来はかなりばらついていて、良いと思えた作品も多いが、どうしようもないものはそれ以上に多い。
そんな中で、私自身が「これは」と思えた作品の一つが本作に当たる。
本作は低予算作品で、特攻隊の華々しさとも戦闘シーンの派手さとも無縁だが、その分、押さえつけられた若者の抑圧された思いや、ただ死ぬことに生き甲斐を見いだしたのに、それを叶えられないまま、何のために自分は生きているのかを考えるような内容になっているのだが、これが妙に胸に迫ってくるのは、やはり“生々しさ”が一番の理由ではないかと思う。本作が作られたのは戦後僅かに8年。まだ日本が敗戦の味を噛みしめている時期だし、作り手側にもじくじたる思いを持っていた人たちも多いだろう。そんな悔しさのようなものがここからは感じ取ることができるし、なによりこの作品を単純な反戦映画で終わらせてはならないと言う監督の執念も感じ取れる。
なにより、単純にリアルに人間を描くことが直接反戦作品に出来ると言うことをよく知っているからこそ描けた作品とも言えるだろう。
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