[コメント] すべてをあなたに(1996/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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俳優業だけなく、優れた製作者としても知られるトム=ハンクスの初監督作。なるほどハンクスはビートルズ世代なんだな。と言うことがよく分かるし、多分自分自身もその世界に飛び込みたかった!というノスタルジーに溢れている(なんでも劇中に流れる曲の何曲かはハンクス自らが作曲したものとか)。きっとハンクス自身、子供の頃はその世界にどっぷりと漬かっていつつ、「いつかは俺も!」と思っていたんじゃ無かろうか? こういう“思い”に溢れた作品というのは、映画そのものの出来如何に関わらず、その人となりを知るために貴重な資料となってくれる。そう言えば日本でも『青春デンデケデケデケ』(1992)なんて、同じ世代をネタにした作品もあったし、国を超えて同じ思いを持つ人がいたんだね(スケールは違うけど)。
物語自体はそつなくまとめられている。ただ、まさに同じ世代の伝奇である『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』(2005)を観た後になると、本作はちょっと綺麗すぎる作品とも思える。ここにはセックスもドラッグも存在せず、むしろ純愛路線と音楽に対するひたむきさだけが感じられる。勿論そう言う作り方も出来たんだろうけど、これを綺麗に仕上げることこそが、ハンクスの最も重要な試みだったんだろう。
…一つ残念なのは、私自身は50年代と70年代に思い入れがあるけど、60年代のアメリカは今ひとつ興味の対象として薄いことで、思い入れが無い分、評価も低くなってしまったと言うこと。
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