コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] プルシアンブルーの肖像(1986/日)

映画って妙に「音」が記憶のなかに残ってしまうことがありませんか?ファーストシーンの雪を踏む「ギュッギュッギュッ」という音は本当に印象に残っています。
ina

本当に妙に記憶に残る映画です。確かにはじめて親や兄弟なしで一人で観た映画だったからかもしれません。とにかくこの映画は「映画を観た記憶」ではなく「自分の記憶」のような感じがします。ファーストシーンは30回ぐらい観ました。ワンカットづつ覚えています。初めてどのようにしてカットが構成されているか興味がわきました。今まで「ワー面白い」だった自分が「これはどうやって作るんだ?」と映画製作の興味がわいたのも初めての体験でした。

あれから15年も経ちゴダール、カラックス、溝口、タルコフスキー、と好きになりましたが今でもこの作品を観たときの興奮は忘れられません。冷静に考えると大した映画ではないのですが映画って「作品の内容」より「作品を観たときの自分の心のときめき」が一番重要なんだなと思います。

この映画で一番印象に残っているにはファーストシーンの雪のなかを主人公の男の子が歩いていく足音です。あの雪を踏む音が僕をこの映画に導いたと思います。 まず「音」で始まる。人間は目で見るより耳で聞くほうがより本能的に早いと思います。

次に印象的なのは雪のシーンが終わり、小学校の屋上で少女が人形を手に踊るシーンです。夏の日差しの中で白いワンピースが踊る事で丸い円になりそれを横移動撮影とオーバーラップを繰り返し安全地帯の音楽が重なる。これぞ「映画」と僕の記憶の中では今でもそう思っています。

はっきりいって僕の主観、思い入れ、思い出だけの作品です。 けれどそんな映画はみなさんにもあると思います。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)リア ダリア[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。