[コメント] ニックス・ムービー 水上の稲妻(1980/スウェーデン=独)
ニコラス・レイ。あまり知らない監督だ、ただ死が間近なのは分かる、癌らしいのにプカプカ煙草を吸い、咳が止まらない。なんとも生々しい映像、そんな雰囲気の中で女性が軽快なロックでタイトルが入る。何の映画なんだろう?
老人の死を撮り続けるヴェンダース。悪趣味である。鼻のつく咳をする爺さんなんか撮っても面白くねぇなぁと観ていた。
大学でレイの作品らしい映画を上映している。ラングラーのジャケットとジーンズを着たカウボーイが淡々と民家?を歩くシーンが出る。白黒のタイトルの分からない映画、4〜5分だろうか?それだけでも大変雰囲気の伝わる映像に僕は見入った。そして「面白そうだなぁこの映画」その時、レイを見る姿勢が変わった。
ヴェンダースは只の爺さんを撮っている訳ではない、作品を観てない僕が言うのもなんだが、きっと数々の素晴らしい作品を撮り続けた監督が今、まさしく病に犯されている状況、なんて残酷な映像だろうか。観ていてやはり気分が悪い。
ラスト、船の中で若いスタッフ達がジョークを交えながらレイの話や映画の苦労話を楽しそうに語る。それをやさしく見つめるヴェンダース。 若い彼らはレイの作品、生前一緒に仕事をし、レイの素晴らしさを生で感じとり、それを財産として今後も若い者達が受け継ぐ、大変素晴らしいシーンだ。僕はこのシーンを観てヴェンダースが病魔に犯されてもレイと共に映像を撮り続ける価値観を感じたような気がする。
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