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[コメント] ダーティハリー3(1976/米)

シリーズ中、私的最低評価。これはキャラハンではあるかもしれないが、映画「ダーティハリー」ではない。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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<<シリーズ他作に関する若干ネタバレ記述がありますのご注意>>

ダーティハリーシリーズと言えば、こと演出の面では「出だし」が全てといってもいいぐらいなのだが、本作は、後のストーリーと何の絡みのない、心臓発作で倒れたフリをした食い逃げ常習者をハリーが見破るという、どうでも良い描写から始まる。そして、その後の事件で(例により)やりすぎたハリーが人事部に飛ばされ、フェミニズム全開の役人の監視のもと面接に立会い、そのとき面接した女性が相棒になり・・・、と、

これでは伏線も何もあったもんじゃない。この時点でいやな感じがした。

別に相棒が女性であることはいいとしても、11秒台で走ると言う割にはどんくさいし(運動靴履けよ!)、(おそらく新米の「はにかみ」を表現しているのでしょうが)笑顔が引き攣っていて、映像に映えていない。キャラハンとの組み合わせは、会話も映像も全くマッチしていなかった。何度かされるセクシャル的な会話も作品の中で意味不明だった。根本的には彼女だけが悪いのではなく、キャラハンに女性の相棒はマッチングが悪いと言うことなのでしょう。イーストウッドも気が乗らないまま演じていたように感じたのは私の気のせいだろうか?

私は映画で「走る」シーンがあればついついそこに注目してしまうのだが、本作の追跡の迫力のないこと! 2人とも本気で走っているように見えないし、だらだらと長いだけ。それに輪をかけて気に入らないのが、行き着いた先の胡散臭い牧師の登場。演出がひどすぎる。

そんな本作を随分と久々に鑑賞して思い出したのは、声優の山田康雄。私はイーストウッドの声が好きだし、吹き替えをもともと好まないのもあるのだけれど、本作だけは、ハリーの口癖 "Swell・・・" を、山田康雄に "泣けるぜ・・・" と言ってほしかった(DVDに日本語吹き替えがなかったのが残念)。

ちなみにこのハリーお決まりの台詞"Swell"の日本語字幕翻訳は、ダーティハリー4では"最高だぜ"、5ではただ一言 "ほぅ" と変化していくのが愉快だった。本作だけ「泣けるぜー」と翻訳したくなる気持ちがよく判る。声優の山田さんがダーティハリー4,5で何と言っていたか?知りたいところ。

もう一つ、よかったのは、黒人マフィアのボス・ムスタファを演じたアルバート・ポプウェル。彼はハリーと裏取引をした情報元なのだが(ある意味本作の真の相棒)、ボスの風格もあり、なかなかいい味を出していた。 ポプウェルは次作『ダーティハリー4』でハリーを支援する刑事を演じるが、これは本作の好演が次作監督のイーストウッドの眼にとまった為と思われる。 更に調べてみると、『ダーティハリー』ではハリーに撃たれる強盗役、2でも撃たれる売春斡旋屋として出演していて、シリーズ常連の撃たれ役だった。本作はそんな彼の出世作と言えるのではないでしょうか?

(評価:★2)

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