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[コメント] デモンズ’95(1994/仏=伊)

話の切り替わりが激しいので一度観ただけではただのドタバタ劇中心のブラックコメディにしか見えず、わけのわからない作品となってしまうかもしれない。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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夜な夜な甦る死者退治に明け暮れる日々からの脱却を図る墓地管理人の男の奔走をホラータッチで描いた心理ドラマ。

序盤で主人公フランチェスコが死後一週後に甦る死者を退治するという展開からはゾンビ映画なのかと思ったが、それはイントロにしか過ぎず、それを伏線に甦る死者退治の日々に嫌気がさし単調な日々から抜け出そうとするフランチェスコの奔走が描かれている。

新たな世界での再出発を目指して奔走する主人公の映画というのは多々あるが、この作品の場合、ホラーベースの設定で、なおかつそれを恐怖映画としてではなくあえてコメディタッチのコミカルな展開で描いているところが一風変わっている。最初は話が方向性が掴めなかったのでフランチェスコの暴走を描いたドタバタ劇かと思ったが、フランチェスコが未亡人や町長のの秘書、女学生との恋に明け暮れるところは墓地管理人としての死者退治に嫌気がさし、そんな日々から脱却するための現実逃避と見て取れる。また、フランチェスコの殺人行動は彼女たちにもてあそばれたことでフランチェスコ自身が怒りのベクトルへと進み、女学生たちの殺人や病院での連続殺人に至ったという感じで、これらの殺人行動は彼の今までの日々から抜け出したいがための抵抗ではないのかなと思われる。

しかし、彼は墓地管理人として甦る死者と人間を繋ぐ存在として位置するため、ラストでは彼自身この世界を抜け出すことの許されない存在であることがわかる。要所要所で現れる死神と思しき存在は死者を殺させないために取引を持ちかけ彼を利用して人間を殺していることから、彼が人間の殺人に手を染めたときに車が目撃されたり、女学生に渡した小切手の切れ端が証拠として押収されても彼が疑われないところは、フランチェスコを翻弄するために死神がわざと起こしていると思われる。ラストでフランチェスコがこの世界から抜け出せないのはそういった理由があるのではないのかと感じた。

話の切り替わりが激しいので、一度観ただけではただのドタバタ劇中心のブラックコメディ映画ようにしか見えず、わけのわからない作品となってしまうかもしれない。

(評価:★3)

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