[コメント] 王になろうとした男(1975/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ヒューストン監督は『黄金』(1948)以来、人の欲というものを事ある毎に描いてきたが、その集大成とも言える。これまではある程度の目的があって、その目的を果たした後で落とす。と言う事だったのだが、本作の場合は、その欲が止まらなかった場合を描いている。金とかと違って権力の場合は本当に際限がないのだろう。一旦手に入れたらそれに満足出来なくなり、どんどん高みに登っていこうとする。現実に対する皮肉と取る事も出来るし、一旦検挙句の座に上ったら、最後まで突き進まねば気が済まないという人間性を描いた作品とも取ることが出来るだろう。
ただ、本作のコネリーは何を考えているのか今ひとつ捉えきれない淡々とした表情をしているので、果たしてそれだけなんだろうか?と思わせてくれるのがコネリーの巧さなのかも知れないな(転落のきっかけとなった平民の娘との結婚も、神となった自分の権力がどこまであるのか試してみようとしたとも取れる)。今回はとても寡黙な役なので、その分ケインがペラペラとよく喋っていてバランスを取っている。コネリーを引き立てる役だが、この人も芸達者だね。二人の掛け合いが結構はまってた。アメリカ映画なのに主人公二人がイギリス人ってのが面白いね。
それに本作の場合、ヒマラヤを舞台としていると言うだけあって雄大な景色がとにかく綺麗。これだけ雄大な自然の中、欲に駆られた人間はやはり惨め。その辺の対比も面白いね。
…こう書いてみると、本作は“対比”というのが多用されているんだな。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。