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[コメント] ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還(2003/米=ニュージーランド)

本作鑑賞後、足掛け半年で原作を完読。私的には原作のほうが好みですね。なんと言っても、アルウェンの謎が解けたのが大きい。1話からずーと違和感があったんですよね。レビューはアルウェンの謎と、本作の3つの視線、その他。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







以下、王の帰還というよりは、シリーズ通しての所感になります。シリーズ3作はもとより、原作のネタバレを含みます。気がついたら長くなっちゃいました。

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馬上のアルウェン。アルウェン評ではあんまりいい話しを聞きませんが、馬上のアルウェン、私はもの凄い好きです。別にリブ・タイラーのファンではありません。ただ、顔に切り傷をつけながらフロドを抱えナズグルの追走を振り切るシーンは、ロード・オブ・ザ・リング シリーズの中でも三本の指に入る好きなシーンになっています。

ところが、「旅の仲間」ではその後のアルウェンは肌の真っ白なお綺麗なお姫様になってしまう。 あの馬上のアルウェンは何だったんだ? 「2つの塔」ではきっと馬上で再登場するに違いない! と、次作に謎解きを期待する。 

「2つの塔」 絶体絶命のヘルム渓谷。 お!エルフが来たぞ! 騎士アルウェン登場か! え?ハルディン? また渋い・・・。 アルウェンは?と言うと、裂け谷からアラゴルンの無事を祈るお姫様。 あれあれ、あの馬上のアルウェンは何だったんだ? さっぱり理解できないまま、「王の帰還」の美味しいところで登場するんだろう・・・(そうに違いない)とまたまた次作に期待を継承する。

「王の帰還」 冒頭、いきなりスメアゴルの過去が明かされる。 そうそう、それも知りたかった。それまでフロドがゴラムを信じきるのが唐突で違和感あったんですよね。ガンダルフの言葉だけでは、(サムのように)あの気味悪いゴラムを信じないでしょう。 だけど、ですね。 自分的に納得してないのはアルウェンなんすよー。ピーター・ジャクソン監督ぅ・・・ 判ってくださいよ。 (伝説の剣をアラゴルンに渡しに来た)エルロンドによるとアルウェンはモルドールの「影」の影響で生命力が消えかかっているらしい。 えっ?? 当然ながら、ミナス・ティリスと黒門の合戦でも登場の気配すらない。

結局、綺麗なお姫様のままアラゴルンと結婚しちゃったよ・・・。 どういう事??? あの勇ましいアルウェンは  マ・ボ・ロ・シ? 「王の帰還」では、エオウィンという女性騎士の本領が発揮されたから画的には満足したものの(予告編でのエオウィンとその音楽は最高でしたね)、アルウェンの不統一には納得できません。

そこで、原作を読んで直ちに納得。フロドを助けた騎馬の人はアルウェンではないのですね。はっはっはぁー・・・だ。 グローフィンデルというエルフなんですよね。 つまりは、本作に好意的に捉えると、リブ・タイラーは1人2役だった、つーことですね。そうなんでしょう? だとしたら、リブ・タイラーはアルウェンとグローフィンデルのダブルクレジットにしてほしい。 仮にそうしたとしても、演出上は、どう見てもお姫様のアルウェンが馬上のエルフと同一人物かのように描かれたと見えるので、3年間悩まされた自分としては本作の設定上の大問題だと断言せざるを得ません(笑)

悪いのは、アルウェンでもリブ・タイラーでもない、脚本だぁ!!! と。。。 

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続いて、「王の帰還」での印象的なシーンについて。

「王の帰還」で、これだ!と思った描写は「3人の視線」です。 全てエンディングに凝縮されているのですが、まず1人目はゴラムです。火山口で、指輪を手にしたゴラムの嬉しそうな視線は、ゴラムの欲がゴンドール人やフロドに生じた「大人の欲」とは異なり、「子供心のままの無邪気な欲」に類するものであったことを示していたと思う。確かに、無邪気さが無いと、あの場であのような行動は取れないですね。

2人目はサム。永い眠りから覚めたフロドが次々と旅の仲間達と面会する中、サムは一番最後にフロドの部屋に入り、フロドとほろ苦い視線を交わした。この視線には、お互いの成した偉業を称え合わないサムらしさと、最後の最後で「2人の生」を諦めた「従者」サムとしてのフロドに対する恥じらいを感じる。

3人目はガラドリエル。彼女の視線が一番印象的です。灰色港でガラドリエルがフロド等4人に、微笑を湛えながら、(気持ち悪戯っぽさすら感じる)きょろきょろとした視線を向ける。彼女の笑顔は多分本シリーズでは初めて。 この視線には、残る3人に対するお別れの意と、フロドとの旅程を楽しみにする気持ちを感じる。また、心に傷(指輪の後遺症)を残し、友人を気遣うフロドに対する思いやりの現れでもあるのだろう。

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あと、折角、原作を読んだので気のついたことを何点か。

映画版「2つの塔」でのヘルム渓谷の闘いは、アラゴルン、レゴラス、ギムリの3人が超人的な強さを発揮し、ガンダルフの救援で一気に形勢逆転する展開に違和感を感じていた私。原作では、映画版のようにハルディンが指揮するエルフの援軍も来ず、ずっと危機的な状況だった。ガンダルフが予見した日に登場する設定は同じものの、勝利のターニングポイントは、原作ではエントの大勢の仲間達の加勢によるとしており、このほうがヘルムとアイゼンガルドとの土地関係が理解できるし、展開に無理が無くしっくりする(→後日、EEE版にこのシーンがある事で納得)。 とは言え、映画的にエルフの援軍到着とガンダルフの坂下りのシーンに見惚れたのも事実。

ピピンとメリーは、それぞれローハンとゴンドールの戦士として大活躍し、ナイトの称号を与えられるまでに大きく成長する訳ですが、原作では、彼らはエントの水を飲んだことで「体」もフロドやサムより一回り大きくなり、そのエンディングでは心身ともに勇敢な武者として、灰色港のフロドを見送ります。しかし、映画での別れのシーンは涙っぽくて勇者とは程遠く、2人の成長は見て取れなかった。 シリーズでフル活躍した特撮と演出で2人の成長も表現してほしかった。そのほうが4人の対比が出来て良かったと思う。

あと、私的にギムリにもっと目立ってほしかった。ギムリはシリーズが過ぎるにつれコミカルでムードメーカー的な存在と化していったけれど、ロスロリアンでガラドリアルと接したエピソード(ギムリがガラドリアルに一目惚れをしてしまうエピソード)を挿入してくれると、純情で紳士なギムリの味が出てキャラに深みが増したと思う。

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最後に・・・

第一作を劇場で鑑賞した際には、本作がシリーズものであることを全く知らず、エンディングに唖然とした私。 その一年後、とある飲み会の場で、もうすぐ「2つの塔」が公開となるという時にもかかわらず、第一作のエンディングが理解できないと言う、続編があることをいまだに知らない女の子と接し、苦笑しながらも話が弾んだことを懐かしく思います。シリーズを追うごとに注目を浴びていったことを考えると、本シリーズの予告編は「いい意味」で不親切でしたね(笑)

振り返ると「旅の仲間」が一番好きです。冒頭のホビット村の醸し出す個性溢れる世界観には何度観ても感心します。ここから始まったんですよね。

いろんな楽しみを有難う!!

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)Osuone.B.Gloss terracotta

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