[コメント] 人喰族(1981/伊)
映画を見終った人むけのレビューです。
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世間じゃ「残酷シーンしか見所無い」「ストーリーが酷い」だの、要するに、人のモノ(=食人映画)をパクって残酷に仕立て上げただけ、とか言われてるみたいですけど、個人的には割りと面白い作品だと思った。って、こんなの面白い、って書くのも何か気が引けるのですけど。
とりあえず、この作品の監督は、単純に残酷シーンを撮りたかっただけかもしれないけど、そしてただ単に俺の勘違いかもしれないんだけど、これ、白人批判映画だろ?いや、別に今更そんな事指摘するまでもないのだろうけど、っていうか、この手の作品からイチイチ意味なんざ解釈してても仕方無いのだろうけど、自分勝手に振舞って自滅して行って、ようやく助かっても事実を隠す為に「人食い習慣は存在しない」と論文を発表する。
でも、この映画は本当に自分勝手な白人に対する批判でしょうか?まぁ、そんな大それた物ではなくて、単純に「うほっ!残酷に作ってやるべ!」とか訳の分からんおっさんが調子に乗って三年賭けて作ったら、完成した頃にはブームは去ってた、みたいな映画なんでしょ?(違う?)
ホント、こんな物に三年賭けて作るスタッフの努力には本当に敬服します。っていうか、そんなに暇なら脚本に時間かけろよ。もっときちっと描けば結構社会派になれたと思う。・・・多分。
でも、もしこの作品を真面目に作ろうとしたのなら、あの金髪の女の子の行動をもっと描くべき。悪役(マイク)のおっさんは、『食人族』のドキュメンタリー製作スタッフの如く現地人をこき使って、さらにイタズラしまくった挙句、一人で苛ついて人を殺して現地住民の怒りを買う、って言うお決まりのパターンなんだけど、それに煽られて「いじめを見ているだけ」と言う行為も罪なんだよ、と言うのを、あの金髪のおねーちゃん使って描くべきではないだろうか?だから、あのねーちゃんが乳房で吊り上げられる時に「私は何もしてない」と連呼していた言葉が際立つって物だろ。
あと、他にも、クレジットカードやネックレスを置き忘れて来た事を気にする女性で、文明がどーのこーのみたいなのを表現してるっぽい所に好感がもてた。さらに「American Express」のカードをドアップで映して宣伝までしてる辺りには爆笑。
残酷シーンは文句無し。一人で自滅していくマイクのアホさ加減には、本当に笑いながらアホやなぁ〜と、ち○こちょんぱされ、手首落とされ、挙句の果てには頭のてっぺん吹っ飛ばされて、ってな具合に笑いながら見させて頂きました。ただ、脚本を持って捻って、大胆に白人の横暴な振る舞いとかを痛烈に皮肉って描いちゃえば、ずっと良くなったと思う。マイクの方は上手く描けてた(っていうか、こんなアホで悲惨な登場人物中々お目にかかれないかと思う)のだから、それに煽られて見てるだけの人間だとか、文明に依存して何も出来ない愚かな現代人だとか、そういう社会的な・・・って俺が言えた立場じゃないか。
それから、同時進行でNYの捜査状況を描いてたけど、時間軸がメチャクチャにずれてるから、何をしたいのか分からない上に、全く意味が無い、と言うアホさ。音楽も段々耳障りになってくる。
って、あれ?やっぱり、この映画・・・そんな真面目な理念の下で作ってないのか?まぁ一人妄想が膨らませるので良し、としよう。
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