[コメント] ロスト・イン・トランスレーション(2003/米=日)
絶対的な孤独でも絶望でもなく。
ふたりが共通して持っていた「ある感覚」。それは絶対的な孤独でも絶望でもなく、都会の雑踏のなかで世界がすこし遠くに感じるような「ある感覚」。それは寂しさであるような、空虚感であるような、日常のなかであえて口にするようなものではない、口にしてもどこか気恥ずかしくかるい冗談に着地させがちな、微妙な、しかし根源的な生きることへの物足りなさと不安。そして疎外感。
一本の映画として、この微妙な感覚をひろい上げてフィルムに焼きつけたソフィア・コッポラの繊細な感性が光る。個人的には、こういった感覚を他者と分かち合うまえに自分のなかで消化させがちな性質なもので、いま一歩こころに響かず。でもこれは秀作だろう。
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