[コメント] 殺人の追憶(2003/韓国)
ソウル五輪を夜遅くまで見て、長崎市長銃撃事件を近所で体験し、高熱でうなさがれながら昭和の終焉を迎えたあの時代に、韓国ではまだあのような前時代的な捜査が行われていたと言う事にまず驚いた。
当時ハンドボール部だったオレは深夜の五輪ハンドボールの試合を毎回観戦して、たまたま見たボクシングの試合で韓国代表が負けた判定をめぐり乱闘が起きたのを見ながら「韓国ってのは危ない国だなぁ」と思ったものだけど、それでも普通に警察内に「拷問禁止」と書いてあるとは思わなかった。
韓国の人にとっては、未解決であると言う事も含めて恐らく相当有名な事件であり、この事件と事件が起こった時代と言うものはすんなりとリンクするのだろうが、よそ者であるオレにはそこら辺がピンとこなかったのは残念。5年間にわたって続いた事件のどこら辺を切り取ったのかはわからないが、デモに動員され機動隊が動員できないと言うくだりでの時代の空気は確かにあったものの、主演刑事2人の捜査方法の違いが本来は都心最先端と片田舎の温度差から来ているはずなのに、ともすれば個人の資質に見えなくも無かったことも含めてソウル五輪や大韓航空機撃墜事件などを絡めてくれたりしたらもう少し時代の空気ってものを感じられたのではないだろうか。思いっきり自分の知識の無さを棚に上げてるコメントだけど。
とはいえ監督の演出、特に緊張と弛緩の使い分けは見事であり、脇役も含めて役者の演技も素晴らしい。こういう監督が出てくること、こういう作品が作れる事が韓国映画界の底力と言うものを表していると思う。
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