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[コメント] 花とアリス(2004/日)

これは面白い。旨い。 全譜監督が手掛けた音楽も素晴らしい。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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本作は、当時劇場で頻繁に流されたチョコレートの劇場CM(ショートフィルム)と相互補完関係となっている。CMでの鈴木杏の表情とチョコもとろける唇の瑞々しさには何度みても見惚れました。 対照的に本作では、蒼井優がオーディションで不器用にチョコを食べてましたが、これはこれで最後にニコッと満面の「笑み」を見せれば、合格!となるところだったのでしょうが、そうはいかない。 このあたり、2人の恋愛観の違いを甘くほろ苦いチョコの味のようによく表現していると思う。 チョコレート会社とのタイアップを活かした演出ですね。

さて、本作の冒頭、駅のホームと階段と車中を駆け回りながら花を振り回すアリス。このシーンも凄い好きなんだけど、ラストのアリスのバレーで納得。なるほどあの動きとリズムはバレーだったんですね。初見時、てっきり、チョコのCMとこのシーンから、本作はアリス“が”花“を”振り回す話しかと思ってた私にとって、影で一人こっそり先輩の写真を撮る花、ここまでは、まだありかなー、と思ってたのですが、倒れた先輩に向かって「先輩は記憶喪失ですよ」「私は先輩の彼女です」で強引に押し通す展開には、私は驚きました。最近ではあまり見かけない映画ならではの強引な設定ですね。

あと、アリスと親父さんのシーンも好きですね。「我愛你(ウォアイニー;最後の漢字は「にんべん」に欠)」「再見(ツァイツェン)」は、中国語では基本中の基本なのですが、洒落た使いまわしだったと思う。心太(ところてん)のエピソードも無理なく物語の転機に使われてましたね。

ところで(どうでもいいことかもしれませんが)、父とアリスの2人が橋を歩くシーンで落とし主(中国人)の携帯がなった時の着メロ?(ヴォー、ヴォー、ヴォーの繰り返し)が、最初、橋の下の池のカエルの鳴き声のように思えたのは私だけでしょうか? 中国らしく(俺だよ俺!みたいに)「我(ウォー)」の繰り返しようでもあるような気もする。 それともやたらと音のでかいバイブ音なのでしょうか? この辺、微妙に小ネタが入っていたように思えます。

そしてラスト。それまで散々周りを振り回し、先輩への自白と先輩の言葉に立ち尽くし大泣きした花と、オーディションでのびのびと美しいバレーを披露したアリス。2人は雑誌を片手に歩道を仲良く歩く。 甘くほろ苦い、素晴らしい後味です。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)水那岐[*]

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