見事にそり込みの入ったジュード・ロウの禿げ頭。

いい映画は、背景をいちいち説明しなくても伝わってくるもの。それを冒頭から長々と字幕説明の入った段階で嫌な予感がしたんですよ。その予感は見事的中。

まずは、戦争シーン。エキストラの数が半端じゃなくセットもしっかりしていたから、とてもお金をかけているんだなっていうのは伝わるものの、それが全然生かされてない。ジュード・ロウが命がけで助ける青年との関係が解らないままなので、なぜ彼がそこまでして助けるのかも意味不明。どこに感動しろというのだ？？

人物設定も不明な部分が多々。人を説明するのに、その人の行動で伝える事が全く出来ていないから、すべて不自然に入った台詞でその人物を説明するお粗末さ。ジュード・ロウは、「彼は無口な奴」と周りの人は言うけれど、ちっとも無口だとは思えない口達者ぶり。他の人に関しても、自分で自分を説明したりと、なんともかんとも。

（多分）一番描きたかった恋愛もよく解らない。何故二人が、運命をかけてまでの恋に落ちたのか、さっぱりすっきり。「なんで口を開けばこうなってしまうんだろう。」と、いきなり痴話喧嘩が始まってみたり。おい！痴話喧嘩は、かなり進んだ関係じゃないとしないものなんだぞ！←経験者？

あれも、これも、それも、と欲張った挙句によく解らないストーリー展開になってしまったのか、いちいち癇に障る。

この映画でレニー・ゼルヴィガーが助演女優賞を取ったのを私はこう理解した。この救いようのない映画に唯一面白味を加えてくれたのが彼女だったから。一つの映画を救える事の出来る、彼女のコメディアンヌぶりを評して贈ったと。 あぁ。とんでもない、言い草だ。

こんなに辛口なのは、期待しすぎた反動なんですよがね。