[コメント] CASSHERN(2004/日)
この映画が評価されにくいのは、テーマがテーマだけに、「批判」することによる「自己存在」の拡大解釈、社会的位置確認をしたがる「年頃」層へ向けた映画として成立しているから。「映画好き」かつ「アニメに期待する世代」の「価値観」が、本来一般的であるはずもなく、「テーマ性」「作家性」に対する評価軸も、違う水平線上から眺めていることにあまり気づかない。 あまりに「作家性」を押し出した為に、アニメが持つ「娯楽性」「幼児性」のフィルター越しに解釈したがる頭の固い子供達には、逆にだからこそ、新しい「価値観」新しい「アイディア」なのだとは理解できない。アニメのテーマには「リアリティはない」という習慣に慣れきっているので、この映画は「居心地の悪い」「偽善的価値観」を振りかざす「噴飯ものの」映画であるとなる。
アニメの持つ「幼児性」は、内なる真実で構成される小さな世界のみで成立する「価値意識」が基盤で、「揺るぎない存在」からの「愛」を、バックボーンとしている。「社会性」の獲得とは、そこからの脱却を意味するもので、「死生観」を問われる行為でもある。「死生観」とは、「リアリティ」と同義であるから、「自己存在」を問う年頃、つまりアニメに退屈しはじめる年頃の人間には、優位であり上位である「何か」を批判する「必要」がある。
だからアニメという「幼児性」を掲げながら、「死生観」をテーマとするこの映画は、そのターゲットたる世代からは、「嫌悪感」を持って迎えられることが確実であると言える。
この映画を評価するのは、その上の世代、若しくは、アニメにどっぷりつかって生きていない、外国人だったりするのでは。
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