[コメント] CASSHERN(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
■なんか評価が低いけどみんな何を期待していたのか? 美しいCGか? ヒーローの活躍か? 俺は血まみれでのたうちまわる唐沢の熱演を期待していった。そうしたら登場人物全員がある意味血まみれでのたうちまわっていた。
■欠点だらけだが(CGが汚い。テーマが幼稚。筋立てが破綻している)、いいところ(2・3の美しいシーン、有責性への言及)もいっぱいある。だけども最重要なのはキリヤ氏のエゴが突っ走っている点だ。「俺は・これが・言いたいんだー!!」と酔っ払って泣き出すような奴はそこらにいるけども、他人の金で(…この映画自主制作じゃないよね?)それを映画にしてしまう奴はそんなにいない。しかも酔っ払いっぷりは初志貫徹のままで。
■アツく語る若者の話自体にはたいした魅力はないが、そのアツい若者自身に知らず好感を持ってしまうという経験はありませんか? 「おまえの話はつまらんが、切実さはよくわかる」という…。そんな映画なんですよ。
2004/07/28
■巷間で低い評価ばかりを聞くにつけ、この映画断固支持! の気分が高まってきた。いい映画だと思いますよ。
■たとえば、「死と悼み」をあつかっていて、なおかつ、ホラーにも泣けます系にもいかない。強いて言えば恨み系。
■ブライキングもキャシャーンも、いっぺん死んでるんですよ。どうみても。で、生き返ったわけですね。ここですごいのは何かというと、生き返った理由がない(笑)。「人は理由なく生き返ったらどうなるか?」ってところから発想が始まってるんでしょう。
■「お前たちに生き返った理由などない」それは「お前たちに生まれた理由などない」と同じ位、残酷で真実です。(ホントのことを言っちゃうのが父親なんですけどね。)われわれは理由なく生き返る。われわれは理由なく産まれる。生き返った理由がほしい兄弟は理由を見つけます。ブライは復讐に。キャシャーンは産んだものへの反逆に。
■やっぱ王道はブライキングのはずで。自分で自分の鎮魂を知らんうちにやってるわけですから。
■キャシャーンはダメですねー。でもこっちは死人じゃなくて子供なんだと思えばわかりやすい。お母さん大好き! お父さん大嫌い! ですから。すっごいですよ。父殺しのモチーフは数あれど、殺して何の後悔もないってのは初めて目にしました。
■結果、それぞれの敵がいいところでケツまくってしまうんで、(人類はなぜかバラバラになるし、父親は妻にしか興味がないうえ「心配ない。また生き返る」という「子供なんざまた産めばいい」に匹敵するNGワードを放ちます。)どうも欲求不満なラストになってしまうんですが、いいとこまで行ってますよこの映画は。
■死人が復活する、というこの映画の奇妙さがあまり取り沙汰されていないこと自体、かわらず奇妙ですなあ。
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