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[コメント] CASSHERN(2004/日)

「生殺しの紀里谷」。未曾有の140分。
HW

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「映画の体裁を成してない」とか「恥ずかしい」とか「焦点が定まってない」とかそんなのは百も千も承知・覚悟の上、それでもなお、「意外と良く出来てる」とまでは行かずとも、「話はアレだけど、映像は・・・」くらいは・・・それも叶わない時には、爆笑ツッコミ映画として楽しもう。と、そのくらい悲観的な予測を立てて、それでも、ちょっとは期待もあって、「まぁ、何だかんだで見て良かったかな」と言わせて欲しかったのだ。だが、これは酷かった。

説明臭いセリフがわんさかと押し寄せる割には、まるで状況が説明されないし、説教臭いセリフについても同様。映像を売りにしているにもかかわらず、画質が粗い。技術的なクオリティばかり押し売りされても、嫌気が差すが、キラキラピカピカ処理での誤魔化しは苦しい。展開は御都合を通り越して、図々しいほど唐突で、テンポはひたすら悪いし(速いようで遅い展開)、構成の緩急は相当狂ってる。それでも、序盤の内は「スピーディー」とも言えたのだが、全ての要素が見事に連携し合い、中盤にもなると、いよいよ耐え切れなくなる。笑う気力も怒る気力も失せる生殺しの2時間。

良い所が無い訳ではなく、例えば、個人的には、スチームパンク風の世界観や戦闘を実写で、しかも、日本でやってくれたのはちょっと嬉しかったし(ハリウッドでも、せいぜい『ワイルド・ワイルド・ウエスト』くらい?)、比較的低予算でのこの壮大なスケールは健闘と呼ぶに相応しいと思うが(ラストも説明不足、パクリ色濃厚・・・などと良い所無しだが、ああいうのをやる気概自体は嫌いじゃない。どっちにしろ、クドい回想や挿入映像は不快の極みだが)、正直、1本の映像作品として評価するにはあまりに辛い出来。

監督の願いが叶ったおかげで、こんな目に遭わされるとは。そんな事を実感させる絶妙な名を持つ主題歌も相まって、2時間半の悪夢を終えての疲労感と後悔の念には伊勢谷友介の最後の独白が頭に過ぎる事しきり。いや、「許し合うべき」とか言われましても・・・。

(評価:★1)

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