[コメント] 下妻物語(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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正直予告編を観て、かなりひいていた。ジャスコと牛さえあれば、別に架空の地方都市でもいいところを敢えて下妻市を舞台にするところが確信的にあざとく映った(まあ、これは原作の問題だが、少なくとも下妻が実際にどういうところなのか、これではさっぱりわからない)。それに加え、最近濫造される『アメリ』を思わせるメルヘン調の画面と、木更津なんとかを思わせる大袈裟な演出が映し出されるにつけ、最近の映画はこのような風味にコーティングしとけばそこそこ受けが良くなるのかと思い、予告編だけで勝手に落ちこんでいた。それに深田恭子が演じているから、ちょっとした不思議ちゃんぐらいで落ち着いているが、実際に何の前情報もなく、ロリータファッションをしている少女を生まれて初めて原宿で見かけたときの衝撃(「どわっ!、グロっ………、」)は筆舌に尽くしがたいものがあった。こんな甘いものではないと思った。
…なのに、諸事情で観る機会を得た。
中身はしごくちゃんとした作品だった。とりわけ気に入ったのは、幻の刺繍師を求めて代官山に行くくだり。あるのかどうか定かでもない店を探し、主人公の二人は方々を歩き回る。『スタンド・バイ・ミー』だと思った。結果としては、水野晴郎を見かけたぐらいで(でも、こういう些細なことが若いときの大事な思い出になったりする)、目的は果たせなかったが、帰り道、桃子は初めて自分以外の他者のために刺繍をおこなう決意をする。彼女にとって、いつもの代官山行とは違った未知の旅路となった。ここは『スタンド・バイ・ミー』の安易な模倣ではなかった。
エンディングに至ったとき、全体の骨組みがしっかりしていたので、軽薄な遊びの部分もある程度許せるようになっている自分がいた。表層だけを掬い取る予告編だけで、全体を判断してはいけないと肝に銘じた。(★3.5)
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