コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 女経(1960/日)

オムニバス三作。これが三作ともなかなかの出来。中でも、実を云うと市川崑編が一番気に入った。
ゑぎ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 一作目は増村編。水上生活者の娘、若尾文子がホステスをしながら男達を手玉にとり、巻き上げた金を日興証券で株式投資する、という話(なんちゅう要約の仕方や)。このような題材なので増村+若尾らしいテンポがはじけて面白い。相手役の川口浩と待ち合わせて乗るオープンカーのカットなんて現代的なセンスで格好いいと思う。またホステスの友人役・左幸子がこゝでも見事な貫禄を示す。

 続いて二作目は市川編。失踪した作家・船越英二が浜辺の屋敷を買い取る話。最初の新聞記事の表現の仕方がヘンテコなのでまた酷い出来かと思ったのだが、(或るいは屋敷の女主人・山本富士子のキャラ造型が普通じゃないのも)、しかしこれがなかなかいい。筋立ても面白いが、それ以上に二人のラブシーンが日本映画らしくない、まるで仏映画っぽい空気なところは特筆すべきだ。不動産屋の社長でワンシーンだけ登場する菅原謙二の造型もいい雰囲気。山本が野添ひとみに云う台詞「私みたいにずば抜けた美人じゃないと成り立たないんだよ」ってのもいい。

 三作目の吉村編は、家業のため人生を犠牲にした京都の旅館の女将・京マチ子の変貌(人間性回復)のお話。京都の街並み、屋根瓦の俯瞰から始まり、朝の三条大橋に立つ京マチ子のカットで終わる。あゝこれぞ宮川!素晴らしい。三作目が一番配役も豪華だがカメラもゴージャスだ。隠居した義父、中村鴈治郎が「一緒に寝よ」と誘うのがイヤらしくって大好き!

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)irodori 寒山拾得[*] づん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。