コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] バーバー吉野(2003/日)

衝撃的とも言える設定のオープニングは映画として充分過ぎる程の期待値を抱かせる。が、期待は徐々に下がり胡散無償する。「男の子になりたかった」というこの女性監督の「男の子」感があまりに表面的過ぎたんだよ、きっと。
sawa:38

当初、これは日本発の「自由と抑圧」を描いたシニカルな作品なのだろうと思っていた。設定をどうでも良い地方にして、どうでも良い子供を主人公にして・・・きっと独裁政権国家やら共産主義国家やらを痛烈に風刺した作品なのかと思ってた。

で、結局は何にも無かったなこの映画。少年たちの夏の思い出日記にしかなってないよ。

女子からみた男の子の不思議さだったり、イメージを描いているだけって感じだ。男性監督が女子のガールズトークの作品を撮ったりしたら、必ず「わかってないね」とかたずけられる類と同じです。

ありがちな男の子のエピソードが羅列され、起承転結はあるものの核となるテーマがあまりにもあっさりと踏み込まれてはいないんですよね。「伝統」という名の「規律」。「規律」というルールに押さえ込まれる「自由」と「個性」。つまり「画一化」。

押さえ込む側の大人たちを深く描きこまなければこのテーマは見えてこないはずなのに、本作はあまりにも大人たちを描かない。訳もわからず「伝統」を信奉する馬鹿さ加減を描かなきゃ少年たちの「反抗の意味」も違ってくるじゃないですか。

この映画、深ーいテーマを持ってるくせに、やけに浅ーい辺りを漂っているような感じがします。もったいない作品です。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)Myurakz[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。