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[コメント] バーバー吉野(2003/日)

変な頭の子どもが普通に成長し、普通に反抗して普通に終わる。結果何か普通。出だしが異様なだけに、逆に何も起きなかったような気になる。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 いや、まぁいいんですけど何なんでしょう、この何もなかった感。やっぱり帰着点があまりに普遍的に過ぎたんじゃないかと。女の子に興味を持ち出し、髪型や服装に気を遣うようになり、大人からの押し付けに反抗し、それなりの自己表現を勝ち取る。これって誰にもある「普通」の話ですからね。

 もちろん普通なら普通でいいんですよ。それは良く言えば「普遍性」とか「共感」に繋がるわけだし。ただそれを描くトーンが(お祭りの時の劇的な反抗ですら)あまりに穏やかで大人しいから、本当にただの「普通」に落ち着いちゃったんですよね。エロ本拾うとか縦笛チェックとかも、少年のはみ出し話としてはかなり「オーソドックスなはみ出し方」だし。本物の男の子の性徴期はもっと痛いです。「それはお前だけだ」とか言われたらイヤなので具体的なことは書きませんけど。

 また子どもたちがみんな大人しいのもそれに拍車を掛けている気がします。辛うじてメガネの子が少しは荒っぽい感じではありますが、一人くらいもっと親から本気で嫌われる子がいてもいいんじゃないかな。

 結局その辺りの全部が、オープニングで観客が抱く「異様さへの期待」に対して“期待はずれ”の効果をもたらしてしまったんではないかと思うわけです。その優しいトーンは決して悪いものではないと感じたので、これは「運悪く」とか「食い合わせが悪い」とか、そういう問題なんじゃないかな。

 実際、オープニングで吉野刈りの子どもたちが白衣で唄う「ハレルヤ」は、かなり異様で素敵な情景になっていたと思います。あのトーンが出せるんなら、「異様」か「普遍」かどっちかにもっと振り切れることもできたような気がするんですよね。惜しい。

(評価:★3)

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