ハリウッドのパニック映画といえば、脳天気なハッピーエンドと相場は決まっている。本作もそのパターンからは逃れることはできなかったが、評価できる点もいくつかある。ひとつはVFXによる描写がとてもナチュラルなこと。「ロード・オブ・ザ・リング」のVFXがファンタジー世界を描くために強調して用いられていたのに比べると、本作のVFXは猛威を奮う自然現象を描くことに徹している。それがあまりにもナチュラルなため、劇場で観ている観客は自然の恐ろしさを文字通り“体感"させられてしまう。その意味でこの映画は十分に目的を果たしている。二つ目は直球勝負であること。ハートウォーミングなファミリーもの、しかも危機に家族を守る父親なんてあまりにも月並みな設定だが、本作は直球勝負で勝負して成功している。それも、ど真ん中のストライクだ。「ディープ・インパクト」に激怒した人も、本作は楽しめると思う。ローランド・エメリッヒの成長ぶりに驚かされた一本だった。