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[コメント] デイ・アフター・トゥモロー(2004/米)

マイケル・ベイとエメリッヒとどっちをとるかと言われれば、エメリッヒを採るが(レベルの低い戦いだな)、『日本沈没』、『華氏451』へのオマージュ(?)は中途半端。
ジョー・チップ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







火薬をバンバン使ってやたらカメラを振り回せば客が喜ぶと思っているかのようなベイ監督に比べれば、エメリッヒはスペクタクルというものを心得ている。というよりこの監督の欲求はとにかく巨大なものを見せたい、ただそれだけのようだ。

釣った魚の大きさが分かるように傍らにタバコの箱を置いて写真を撮るように、同一画面に人間や日ごろ見知ったものを配置することによって、巨大さを体感できる。この時、カメラを動かすと効果半減である。この演出が最も効果を出したのがロサンゼルスの大竜巻のシーンで、報道しているレポーターの後ろでいくつもの巨大竜巻が建物を破壊しているところを同じ画面に納めたシーンは圧巻だった。竜巻がなぜかキャピトル・レコードビルに突進したり、なぜかロシアのタンカーがニューヨークに流れ着いたり、古典的な見せ方だが確実な効果がある。

学者が図解で現象を説明する、衛星軌道からの描写、難民、どうも『日本沈没』を意識しているのではないか。規模はこっちの方が大きいはずだが、全体としてみると小振りに見えてしまうのはやはり人間描写の薄さ。

主人公がクイズマニアという設定が生きていない。クイズの知識を動員してサバイバルの知恵を出すべきだが、やってることといえば本を燃やすだけだ。知識は頭の中に入っているから本を燃やしても大丈夫、という『華氏451』のパロディかと好意的に解釈したが、その後何の知恵も出さないので単なる馬鹿なのかと思った(燃やすならテーブルでも椅子でも何でもあるだろう)。息子がこんな感じなので父親がああまでして彼を探す、という行為にあんまり感情移入できない。

この監督はいつもこの辺でつまずくのである。北極の観測員や、病院の患者のエピソードはよかったので、本人は「家族愛」を描くのが得意と思ってるかもしれないが、実は大きな勘違いをしているのかもしれない。本当ならば『日本沈没』のように「離別」こそ描くべきなのだ。

(評価:★3)

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