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[コメント] デイ・アフター・トゥモロー(2004/米)

科学的空想力にもとづいた映画という点では、かの名作『猿の惑星』に匹敵し得るSF名画。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







わずか数週間で地球を氷りつかせる。

どう考えても、現実の自然の熱的変化を考えてもそれは無理がありまっせ、という設定をクリアしたのは、地球と宇宙の境目=成層圏の空気を一気に地上へ吹き降ろす超巨大な台風(ハリケーン)というアイディアだった。

劇中でも言われていたが、地球規模の急激な気候変動をもたらすエネルギーは太陽活動以外にはないハズ、という従来の科学的知見と矛盾することなく地球規模の「急速冷凍」をもたらしたのは、地球と宇宙空間の熱交換のアイディアだった。

「急速冷凍」をもたらすものは熱交換だが、その時に重要なのはいわゆる「温度差」ではない。どれだけの運動エネルギーの交換になるかという「熱量」である。例えば、一昔の格闘系マンガで熱く熱した砂利に高速度で手を出し入れするというシーンがあったが、あれは高速度であるが故に、どれだけ手と砂利との温度差があろうとも「熱量」交換がごく少量(接触時間が短い)だから火傷などをせずにすむのである。(例えば熱湯に手をつけても、すぐに手をひけばあちちっ、で済むものを一定時間つけておけば火傷するのと一緒である)

それを地球全体の持つ総熱量との関係でどうクリアするか。その答えを、感覚的には無限に広がる絶対零度の空間である宇宙空間との熱交換、日常感覚に即していえば、地球の持つ熱量が広大な宇宙空間の一方的に拡散することによる温度低下、として描いたことは、実に見事だった。

こういう設定ならば、SF的には地球の北半分がわずか数週間で氷づけになるということはありうることである。

そしてようやくニューヨークにたどり着いたデニス・クエイドが目にした氷づけの自由の女神像はまちがいなく、あの『猿の惑星』の自由の女神像に匹敵するインパクトがあった。

(評価:★5)

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