[コメント] ミンボーの女(1992/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
経理課でヤクザに金払う体質が駄目とせせら笑った大地康雄が暴力団対応やらされて雪だるま式に金払う目に会う因果応報。ガミガミ怒っていた総支配人宝田明がヤクザに酷い目に会う因果応報。
対応策を何でも知っている弁護士宮本信子の解決篇はノウハウビデオ寄りで教育映画に近く、教育映画の面白さというのもあるのだが、先行き不透明を重んじる劇映画の本筋から見ると物足りない処もある。
宮本は云う。暴力団は強い者には弱い。暴力は暴力団同士でしか振るわない。だって懲役は年二千万円もかかる。しかし彼女は鉄砲玉の柳葉敏郎に刺される。このイロニーだけが劇映画らしいのだった。この公園の夕暮れの採光はとても感じがいい。しかし全部いい訳でもなく、ゴルフのバンカーショットなど安いセットでえらく貧しい。あれはコメディを求めているのだろうか。
特に右翼街宣車に係る裁判所での仮処分申請が勉強になる。最後は別のやくざが来て、大地が追い返す際の説明が、当ホテルは政府の賓客もいるので格式を守るためだ、と云うのは、伊丹って保守寄りだなあと思った。
伊東四朗の悪役も上手いものだが、妖怪のように小さくなった小松方正がさらに素晴らしい。ベストショットは血尿みて飛び上がるストレスマックスの大地。なぜ宮本は冒頭、鼻に絆創膏をしているのだろう。
なお、監督がやくざに襲われた件は、日本映画の膿出しだったのだろう。五社英雄がやくざ関係の事件を予告していた、筋通さないからだと語ったという話があるが、詰まらない立ち位置にいたものだと思う(彼は日本国粋会の理事長だった)。再見。
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