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[コメント] ル・ディヴォース パリに恋して(2003/米=仏)

今でもヨーロッパの憧れは有効なんですね。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 アメリカ人にとってはヨーロッパはあこがれの地のようで、特にフランスを舞台にした作品だと不思議な熱意を観ることができる。映画では昔からこれはあり、これまでも『巴里のアメリカ人』(1951)や『パリでいっしょに』など、その憧れを前面に押し出した作品は数多く存在する。新世紀になってからは結構珍しいと思うのだが、離婚に関するお国柄の違いを主題に持ってきたりして、なかなかうまく作り上げている。

 アメリカとフランスの違いは何か?と言うと、洒落た恋の駆け引きだとかファッションとかになるが、これはアメリカ人が憧れてると言うより、これはもうフランス人の独自に持っているプライドってやつが世界的に認められているということなんだろう。なんとなくそんなプライドに気圧されてしまっている。というのがアメリカ人がもつフランス観と言うことになるだろうか。実際ここに描かれているフランス人の恋愛観は決してべたべたせず、執着心も低く、その辺がさらりとしている恋の駆け引きが展開されるが、それをアメリカ人の視点で見ているのが本作の面白さと言えるだろうか。小気味いいような、ちょっと文法が違っていて、歯がゆいような、そんなレベルを楽しむことこそ、本作の面白さだろう。

 ここでは二人のアメリカ人女性の恋が描かれることになるが、恋愛をまるでゲームとしてとらえている国で、それに翻弄されつつ、自分のアイデンティティを持とうと言う姿がコミカルな描写となっている。その辺のコミカル要素は確かに楽しい。姉妹役のハドソン、ワッツの二人のそれぞれの個性のメリハリもきちんとしてるし、小物の使い方も洒落てる。

 ただ一方恋愛観があっさりしている分、物語性も低くなってしまっているのが難点か?

 ところで本作の原作のダイアン・ジョンソンは『シャイニング』(1980)の脚本家。又えらい落差だな。

(評価:★3)

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