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[コメント] 王立宇宙軍 オネアミスの翼(1987/日)

期待しすぎて観た作品に対する失望の典型。→
むらってぃ大使

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ディテールに驚異的なこだわりをみせるアニメの作品は少なくないが、この映画においても風景、建築、飛行機(もちろんロケットも)、車輌、服飾、皿やナベからテレビ、電話に至る生活物資、貨幣などなど実に細かい描写で、現実の地球から微妙に遅れて発展している世界を描写することに成功している。それは本当に素晴らしい。映像の美しさも驚異的。惜しまれるのは、もっと観たい、と思わせられるカットがあっさり終わってしまうこと。アニメならではの空中戦やハイテクシーンはいくらでも撮り得ただろうに勿体無い。その反動として、最初の1時間半(というと上映時間のほとんどだが)がかなり冗長に感じられた。

それと、その映像の美しさとは対照的にこの作品の決定的な弱点となっているのが登場人物のキャラクターの弱さだ。

シロツグはごくごく凡庸な人間であったのが、女の子との出会いによって一念発起し立派な宇宙飛行士になり、打ち上げの場面では演説までしてしまうが、その(成長と言えるかどうか分からないが)変化のプロセスが全く見えない。

宗教家の女の子もマナも、謎めいてはいるが、人物像としての魅力を感じるかと問われれば答えは否。まぁ、微笑ましいと言えなくも無いかもしれないが、自分が彼女と出会ったとしたら、彼女と友達になるほどヒマじゃない、と言わざるを得ない。

その他の登場人物も、キャラが見えないので誰が誰だかよく分からないまま話はクライマックスまで進展し、人類に対する警鐘という壮大なテーマに到達する、が、そこまでの話の流れとの関係がすっきり納得できないものがあるため、「エンドロールを観終わらないうちにトイレに急ぐ」の刑。

アニメを低いものだというつもりは全く無いし、かくいう私も子供の頃は数々のアニメに感動して成長してきた。これをリアルタイムで小学生の時に観ていたら評価は全然違ったかもしれない。が、今やこれを観て感動はしないし、むしろ制作者やスポンサーの思惑やあざとさが見え隠れしてなんだか嫌な気持ちになってしまうのだった。

(2002.4.7)

(評価:★2)

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