荒唐無稽は歓迎ですが、その前提となる映画内リアリズムというのが大事なのであって、もうすでに指摘されていますが、あんな大事なものを郵便で送るというのが理解できない。当時としてみれば核兵器みたいなものでしょ？しかもそのあとすぐロイド博士が来たのだから、送った意味ないじゃん（笑）。スチームボールの原理がおざなりにしか説明されていないのも不満。映画内で筋が通っていればいいのだから、ウソ八百でもいいから原理と威力を（図解で）説明するべきだろう。それがないので、ボールの争奪戦が起きても、「こんな連中に渡ったら大変だ！」というハラハラ感はない、「なにやってんの？この人たち」という当惑感ならある。

ロンドンのど真ん中の、万国博覧会会場で堂々と大量破壊兵器の品評会をやるというのも理解できない。政府軍が来ても撃退できる自信があるから？商売人である武器商人がそんなリスクを負うだろうか？実際、お得意様を危険な目にあわせてアウトである。

私は、この博覧会の攻防は前哨戦で、一息入れてからこのあと人間関係を整理し、仕切りなおしてレイ対父+スチーム城の最終決戦があるのだろうと思っていたのだが、そのままズルズルと最後までいってしまってのでビックリしてしまいました。 いや、そういうちゃんとしたストーリー作りは宮崎駿にまかせて、大友はそういうものは眼中にないんだよ、と言われればそれまでですが、マニア向けじゃなくて一応子供向けなんでしょ？

私もメカフェチなので、いくつかのメカデザインは面白いと思いました。最初の方の、手塚治虫の『W3』に出てくる一輪車「ビッグローリー」みたいなやつがお気に入りだ（すぐ壊れたのは残念）。手の歯車がメカに組み込まれるのも面白い（何の役に立っているのか分からないが）。操縦室の周りを複数のレンズが回転するのもかっこいいと思いました（これは最初、レーザー兵器かなんかかと思ったら、単なる望遠鏡だったのでガッカリした）。