コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] マッハ!!!!!!!!(2003/タイ)

劇場の中で大声で歓声を上げる小学生が全く邪魔に感じず、むしろ私自身が安心して大声上げてました。精神衛生上、とても良い映画ですね。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 きっとこれは極めて単純な作品だろうと予測していた。

 …そして予想に違わず、本当に単純な作品だった。しかし、その単純さは、決して悪くない。いや、違う。この作品はこれだけ単純に作られたからこそ、意味がある作品なのだ。

 そもそも東洋の映画が世界に認められたのは、一部の例外があったとしても、それはストーリーで見せるものではなかったはず。ストーリーよりも見た目重視。しかも肉体そのものを使ったアクションではなかったか?本作はその原点というものを再認識させてくれた。

 偉大なるブルース=リーによって世界に認識された香港映画は後にジャッキー=チェンという、これ又素晴らしいアクション俳優によって、その方向性が明確化される。しかし、変化し続ける香港映画は単純な肉体を使ったアクションから、ワイヤーを用いたものとなり、映像技術の発達によって、CGや早回しを用いるようになった。肉体美とアクションによって一世を風靡したジャッキーさえも、今やコメディ俳優へと転身してる(年齢的にそれは仕方ないんだけど)。

 それで本作を観て実感したこと。「そう。私はこれが観たかったんだ!」という思い。

 単純。コミカル。そして爽快感!アクション映画の原点がここにある!

 そうだよな。昔、まだビデオが無かった時代、私の小学生時代はテレビでジャッキーやリーの映画を放映した次の日、カンフー道場と化したものだ。新聞紙で作った手製ヌンチャクを振り回したり、組み手をみんなで考えた時のこと、そんな昔のことをしっかり思い出させてくれたよ。今の映画では失われてしまった、時に子供が真似っこ出来るような作品を観るのって、精神衛生上、とても良いことだ。実際、映画館にはこども達もおり、時折大きな声をあげていたが、あんまり気にならなかったし。古き良き思い出を再確認出来た。

 ところで、リー、ジャッキーと続く香港アクション俳優はもう一つ特徴があった。アクションが上手いだけではない。彼らにはコミカル性があった。見ていて笑える部分もあったし、とにかく楽しい。という思いをさせてくれた。それは彼らの笑顔に負うところが大きい。二人とも、笑顔がとっても素敵だった。ここのトニーは、アクションだけでなく、しっかりそれも受け継いでいるところが大きい。しっかりその辺を分かってやってるんだな。

 それで本作単体の魅力だが、最初の木登りシーンから明らかだ。ここだけで充分な魅力になってる。だってここでは本当に相手を引きずって地面に落としてる!金を遣わない、しかし本物のアクションがここにはあった。祭り故の乱暴さと生の迫力(日本でも祭りが未だに魅力を放ってるのは、こういった生の乱暴さが実体験出来るからだろう)。掴みとしては見事だった…あの木からおっこった人達、再起不能の怪我なんかしてないと良いけど。

 本編に関しては、やはり予告通り、ジャー本人が路上でのスピード溢れるアクションも披露してくれてるが、やはり見所はムエタイの技の数々。直線的なハリウッド的なぶん殴り方とも、舞のような功夫アクションとも違う、まさしくムエタイとしか言えないアクションがここにはある。肘や膝を効果的に用い、相手に的確にぶち当てる。見てるだけで痛そうな技の数々が思い切り魅力を発散してる。年甲斐もなく真似したくなるほど(笑)

 …そう言えば予告と言えば、確かに早回しはしないけど、スローモーションは多用してたし、CGはしっかり使ってたようだけど、それは最小限度だと言うことで(笑)

 確かに単純すぎたお陰で、ちょっと点数は低めにさせてもらったけど、魅力の塊のような作品だから、是非お勧めしたい映画には違いない。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (4 人)ゼロゼロUFO[*] FreeSize[*] JKF[*] mimiうさぎ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。