コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 裸の大将放浪記 山下清物語(1981/日)

いささか説教臭のする構成。天性のユーモラスな人格を描写するだけでも良かったのではないか。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







彼の死後の、母の独白までフィルムにし、監督の作詞した主題歌にあわせて自由に遊ぶ雁之助を描くのは蛇足と断じるだけでは済まされない。山下の人生が他者に曲げられてゆく過程への、一方的なアンチテーゼとしての映画がこれであるとしか見えなくなってゆくからだ。それゆえ山下の破天荒さは感動を呼ばず、ひとつのお涙頂戴劇にのみ傾斜していってしまう。

観客は哀れな山下を観たいのではなかろう。常に巧まずしてこの国の権威への痛快な反逆者になっていた彼…といってもいいのだが、もっと適確な表現で言えば、観客はおもろいオッサンとしての彼しか観たくなかった筈だ、ということだ。

余談。今日の中村玉緒の妖怪的演技は、この映画の老け演技のときに培われたものであるようだ。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。