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[コメント] テイキング・ライブス(2004/米)

アンジェリーナ・ジョリーが唇半開きの悩ましい表情を見せるポスターは、『氷の微笑』のそれのシャロン・ストーンの表情を超えた直球。ところが、エロチック・サスペンスとしてもミステリーとしても、どっちつかずになってしまった中途半端な作品。
かける

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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あるストーリーテラーの言葉に「物語は、読者の予想はいくら裏切ってもいい。だが、期待を裏切ってはいけない」というのがあった。

受け手にストーリー展開を見破られてしまうようではいけないけれど、だからといってその物語に期待されるカタルシスはちゃんと提供してあげなければいけない、ということのようだ。

ところがこの映画、それなりに丁寧に作りこまれた伏線は、容易に展開が予想できる上にイマイチ収束せず、新たな発見をするのも難しい。展開自体も平板で、ミステリーやサスペンスに期待されるドキドキやドッキリ、ビックリは薄い。ラストの「ドッキリ」にしたって、あれはサスペンスというよりは愛憎劇としてのドッキリだろう。そして、エロチック・サスペンスとしてのドキドキも……まあそれなりにはあったけど。

アンジェリーナ・ジョリー好きならまあ見ておいてもいいのかもしれないけれど、サスペンス、ミステリー好きの人なら退屈してしまう類の映画だろう。サスペンスとしてのダメさ加減や、売りどころが主演女優が小出しにする「体当たり」だけ、というあたりは限りなく『ノー・グッド・シングス』的だった。

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それにしても全編に漂うのは予算の無さ。タイアップだって皆無で、出てくる車は全部違うメーカー。化粧品のビンは伏せられ、携帯電話のロゴは不自然に隠される……それでもってロケ地がカナダ。そんなところからはどうにもテレビムービー臭い雰囲気も出てきてしまっていた。

もしかしたら、この企画自体テレビムービー用のものだった?(後から調べてみたら監督自身今まではテレビしか撮ってない人だった)。シークエンスとなどの構成に妙に統一感が無く、船頭だらけでどこに行きたいんだかわからないように見えたのも、複数のライターが参加していることで往々にしてそうなってしまうテレビのようにも思見えた。

ともあれ、アンジェリーナ姐さんのガンバリもあって、北米では思いっきりR指定。北米版のポスターは思いっきり姐さんのエロ表情だったりと、結局の所そういう線で売るしかなかったのかも(日本の試写はそれと同じバージョンのようだけど、別に存在するディレクターズカットではRはとれてるらしい)

根本的な問題として、姐さん演じるスコット特別捜査官という役柄自体、原作には登場しないそうだからガックリ。映画化で主役が付け加えられて、そしてポスターであんな表情されちゃうんだから、これは原作と無関係だと思った方がいいんだろう。多分、元々のストーリー「人生を盗む男(映画公開に合わせてタイトルを「テイキング・ライブス」に改めて再発売されたらしい)」はミステリーとして上質で面白い作品なんじゃないだろうか。そういう気配は漂っていたと思う。

オープニングの1983年のエピソードとその映像。それから姐さんが期待に応えてくれていたことはやっぱりうれしかったので★1つずつ。結果★2。

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世界ズボン早脱ぎ選手権カナダ地区予選で、ぶっちぎりのタイムで優勝したイーサン・ホークにも★1つプラスしたところだけれど、生脱ぎ生ハメなんてPC的に「正しくない」エッチシーンを見せちゃった人に★はあげられません……でも、みんなの期待通りに姐さんのバスローブに手をかけ、そしてポロン、とやってくれたあなたに! 心の★5を進呈します!

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)IN4MATION[*] トシ[*] m

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