[コメント] 誰も知らない(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ベランダ。そこは清潔な洗濯機が置かれ、遊ぶことを禁じられた約束の場所。母との約束が兄弟を支えていた。 母がクリスマスの約束を破り、ユキの誕生日を忘れていたことから、兄弟は吹っ切れたように揃って外出する。
雑草。道端の雑草の種をカップヌードルの容器に植え、成長を見守る兄弟。逞しく成長する雑草は、たちまち約束の場所・ベランダを埋め尽くす。変わり果てたベランダ同様、兄弟の生活も乱れてゆく。そして事故。したたかに生きる兄弟も雑草のように強くなかった。
ラスト。スーツケースは飛行機に乗る為ではない。それを土に埋めたのも芽吹きを期待してのことではない。最期にできるのは約束を「破らないこと」であった。
※ オープニングには、ラストにつながるワンシーン(=モノレールに乗る少年と少女とスーツケースを写すシーン)があったが、予告編を観ていたので、若いカップルの家出ではなく、スーツケースの中には人が入っているだろうと想像した。ただ、兄弟の数が合わないため、もしや・・・と思っていたところ、その方向に話が進んで行く(茂にも随分とハラハラさせられた)ので、いつのまにか自分の前に手を組みながら祈るような気持ちで鑑賞していた。
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コンビニ。隣り合うように描かれたコンビニエンスストアの存在が豊かな日本を象徴しているように、途上国のストリートチルドレンを描いた埃っぽい映画とは雰囲気が異なる。コンビニはとっても便利だし、実際兄弟にとっても、これ以上ないぐらい便利だったのだが何の解決になっていない。気にも留めない他人。知ってても深入りしない店員。
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柳楽優弥。柳楽優弥は確かに凄い。冒頭からしばらくのニヤケ面がちょっと気になったが、話が進むに連れ、皆が揃っていることの喜びを表現していた様でもあるし、後の荒んだ生活を引き立ててもいて良かったと思った。もう一度観ると、味のある演技と思えるだろう。他の兄弟の表情も驚くほど自然体なので柳楽君が霞んでしまいそうだが、他の3人は長男あってこそと言えるので、自分だけでなく兄弟をも引き立てていた柳楽君はやはり凄い。それにしても、それぞれの表情の余韻に残ることといったら他作にはないものがある。
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